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  • とある屋外イベント

    2015/12/10

    変な話

    我々はグループとして、とある屋外イベントに参加している。

    グループ構成員は親しい仲のようでもあり、初めて会うようでもある。
    たとえるなら、オフ会みたいなものであろうか。

    そのイベントにおいて表彰式があり、我々グループが指名される。
    たいした功績とも思えないが、我々は素直に喜ぶ。

    ところが、その式典の最中に雨脚が強くなる。
    放送システムがあって、避難勧告らしきアナウンスが流れる。

    あわてて全員が下山し始める。
    すると、そのイベント会場は高台にあったわけだ。

    しかし、なにか忘れ物があるような気がしてならない。
    私はグループを離れ、少し前までいた場所に戻ろうとする。

    迷いはあるものの、向こう側からでも下山できるのではないか。
    全員が同じ行動をとることに対する反感も否定できない。

    後悔することになるかもしれないが、そうせずにいられない。
    いずれにせよ、後悔することになりそうではあるけれど。

     

     

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  • リモコン人間

    2015/12/09

    ひどい話

    このチップを後頭部に埋め込むと、リモコン人間になるのだ。

    ただし、手足を動かすなど物理的な動作コントロールではなく 
    感情や欲望、体調や感覚など、心身の状態コントロール。

    手持ちのコントローラーによる遠隔操作で 
    埋め込まれたチップからマイクロ波やらなにやらが発生するらしい。

    ある程度の好みの変更、欲望や恋愛感情の増幅も可能なので 
    片想いの相手をリモコン人間にしようとする犯罪が多発している。

    効果は格段に劣るものの、チップを後頭部に貼り付けるだけの 
    埋め込み手術を必要としない簡易手段もある。

    もともとは某社会主義国家の軍事技術だったそうで 
    恐ろしいことに、どうやら兵隊に使おうとしていたらしい。

    それが、軍事機密の漏えい事件によって民間に流れたようだ。
    こうして、大学病院の外科部長である私のところにまで。

    さて、それはともかく、このチップをどうするかな。
    まるで誘惑するかのように、大統領閣下が緊急入院されたのだが・・・・

     

     

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  • 女友だち

    2015/12/08

    変な話

    送別会があり、酒場で盛り上がった。

    その帰りに同僚だった女性の家に寄ったところ 
    カセットテープをプレゼントされた。

    帰宅して、ラジカセにセットする。

    酔っているせいかボタンを押し間違えて
    ラジオの女性アナウンサーが明るく喋り始める。

    「明日は雨が降らなかったり
     降りもしないくせに降ったフリをするくらいでしょう」

    なんだ、これは? 
    酔っ払いを馬鹿にしとるのか? 

    しばらくして、やっと誤操作に気づく。

    ともかく彼女の歌声は甘酸っぱくて 
    最後の「女友だち」という曲は特別に気に入った。

    羨ましがっているうちに夜が明けて 
    隣に住んでる奥さんと道を歩いている。

    途中、同級生だった女の子の姿が目に入る。

    そっと近寄り、肩を叩いて声をかける。
    「すごかったね」

    ところは、彼女は振り向きもせず
    「知りません」

    なるほど、背後から見たら別人であった。
    あわてて隣の奥さんに言い訳をする。

    「知り合いの女の子が歌手デビューしてね、
     その子の友だちに似ていたんだ」

    すると、背後から遊び仲間の女性が現れ 
    「それ、ホント?」

    いまさら噓とも言えず、うなずくと、別の友だちの話になり 
    「知ってる? 彼女、結婚するんだって」

    彼女に恋人がいることは知っていたので 
    べつに驚くような話題でもないのに、などと思う。

     

     

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  • 存在理由

    2015/12/07

    論 説

     「なぜ宇宙はあるのですか?」

     「神様が創造したのさ」

     

     「では、なぜ神様はいるのですか?」

     「神様の神様が創造したのさ」

     

     

    そもそも存在するものの存在理由など存在するのだろうか。

     

    仮に、まったく何も存在しないとすれば、当然ながら 

    「なぜ何も存在しないのか」などと問う者も存在しない。

     

    しかしながら、存在するものの存在理由を求めるとすれば 

    このまったくの非存在から導かれなければならないはずである。

     

    でなければ、ほんのわずかにせよ何事か存在することになり 

    さらにその存在理由を問わねばならなくなるから。

     

    従って、存在するものの存在理由を求めるとすれば 

    どんな理由も存在しないはずの非存在から 

    存在理由を導かねばならない。

     

    つまり、すでに矛盾している。

    矛盾した問いに対しては神様であろうと答えられるはずもない。

     

    どうやら存在するものの存在理由など 

    どこにもなさそうである。

     

    いくら死体を解剖しても「死」が見つからないように。

    あるいは、いくら恋人を責めても「恋」が抽出できないように。

     

    なので、こと「存在」に関しては 

    どうも因果律が破綻しているように思える。

     

    せいぜい我々は、我々が我々であるから我々であるように 

    こうして現に存在しているのだから存在する 

    としか言えないのではなかろうか。

     

    もし反論あるとしても、次の瞬間 

    パッと消えてしまわないとも限らないのだから。

     

     

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  • レンタル人間

    2015/12/06

    ひどい話

    ヒューマンレンタル協会、HRAなる組織があり 

    ここに入会することができた。

    今時、色々なレンタルサービスがあり 

    人間の貸し借りだってできる。


    労働力だけでなく 

    仮にせよ恋人や友人や家族でさえ借りられるのだ。

    HRAにおける入会審査はきびしい。

    現会員からの推薦、書類審査、筆記試験、身体検査、身辺調査、

    面接、さらに幹部による協議を経て、ようやく入会が許される。

    借りるだけ、貸すだけの条件を有する会員もいるにはいるが 

    それは例外。


    一般会員であれば相互レンタル交渉は自由に行える。

    口約束にせよ、なされた契約は協会の権力機構を持って厳守させる。
    それゆえ、ある程度のプライバシー侵害は甘受せねばならない。

    なんにせよ、広い意味での人間的魅力が一番の入会条件だ。
    HRA会員であることがそのままステータスとなる所以ゆえんでもある。


    さて、それはともかく、今夜の妻は誰にしようか。
    かわいい娘も欲しいところだ。

     

     

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  • 余計な家具

    2015/12/05

    変な話

    独り暮らしなのだが 
    目が覚めると余計な家具が増えている。

    家の中のどこかに 
    勝手に家具が増えるのである。

    ひどい時など、ちゃんと起きているのに 
    振り向いたら、そこに見知らぬソファーが置いてあった。

    困って警察に連絡したところ 
    「盗難でなければ対応できませんね」

    まあ、そうかもしれない。
    しかし、これは犯罪に近いのだ。

    大型家具を処分する場合、粗大ゴミ扱いとなるので 
    貼って出す処理券を近所のコンビニで買わねばならない。

    出す日を決めるため、電話をする必要もある。
    外に出すのも重くて大変だし、まったく面倒臭い。

    そして今朝、とうとう余計な人まで増えてしまった。

    「あんた、誰?」
    「あんたこそ、誰?」

    まるでお話にならない。

     

     

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  • カタツムリに乗って

    2015/12/04

    楽しい詩

    カタツムリに乗って隣町まで行こう。
    なんなら高圧電線を伝ってもいい。

    印象に残らないかもしれないけれど 
    急いだ方が君のためだと思うな。

    忘れないようにメモしようとして 
    すでにメモすべき事柄を忘れている。

    そんな残念な事態にならないように、ね。

    演歌歌手でもトレジャーハンターでも 
    この際、乗り手は誰だってかまわない。

    職業が夢の最終形態ではなかったはず。

    町境まちざかいの壁には貼り紙があって 
    「捨てられた女の子を拾ってはいけません」

    それは余計なお世話というものだ。

    背負った家の渦は右巻きか? 
    それとも左巻きか? 

    なんとなく尋ねられても困る。
    それは隣町に着けばわかるはずなのだ。

    川を越え、鉄柵を越え、線路を越えて 
    カタツムリの群が隣町をめざす、めざす。

     

     

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  • 仮面の部族

    2015/12/03

    変な詩

    仮面の部族は楽しいな

      歌う時
       踊る時
        戦う時も

      いつも仮面をかぶってる

        色とりどりの
         不思議な仮面

       伝統の模様 

     手作りの
      仮の顔に 
       仮の表情 

     凛々しい
      成人式の仮面 

     幸せそうな
      結婚式の仮面 

     涙にくれる
      葬式の仮面 

        ほらね

          仮面と仮面
         触れ合えば

       おかしな音も聞こえます 

     みんな
      素顔がわからない 

     みんな
      素顔を恐れてる

        なぜならば

      仮面が割れたら 
     死なねばならぬが 

       仮面の部族の掟なり

     

     

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  • とりあえず怖い話

    2015/12/02

    怖い話

    寝ながら 
    とても怖い話を思いついた。

    ただし 
    その話を語ったり書いたりすると 

    まるで怖くなくなってしまう 
    らしいのだ。

    「なんだそれは?」

    不審に思いながらも 
    起きようとすると 

    頭がぼんやりしてきて
    話の中身が消えそうになる。

    「これはいけない」
    と 

    あわてて寝直して 
    なんとか思い出すのだが 

    なんとなく
    どこか違うような気もしてくる。

    「どうやら、このままでもいけないようだ」

    ここはとりあえず 
    思い出せるところまで思い出して 

    とりあえず 
    書き留めておくしかあるまい。

    そう考えて 
    とりあえず起きて 

    とりあえず書いたのが 
    この話。

    やはり 
    怖くもなんともない。

     

     

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  • お菓子の日

    近所の大型スーパーへ行く。

    毎月第2第4土曜日は、お菓子の日。
    お菓子全品1割引きセールの日なのだ。

    糖尿病を心配して糖質は控えているものの 
    どうしてもチョコレートだけはやめられない。

    それで、お菓子売り場へ直行する。
    ブラックチョコ、2週間分まとめ買いである。

    ところがそこで、お菓子に出会った。

    透明袋に人形が入っているだけなのに
    棚のプレートの商品名が「お菓子」なのだ。

    そんなに高くない。
    板チョコ5枚ほどの値段だ。

    商品説明も成分表示も何もない。
    しかし、バーコードのシールが貼ってある。

    おそらく首がキャップにでもなっていて 
    中にスナック菓子でも入っているのだろう。

    人形としてなかなか魅力的だったので 
    思い切って買うことにした。

    チョコその他と一緒にカゴに入れ 
    不安ながらレジに並ぶ。

    レジのおばちゃんも「お菓子」を見て変な顔をした。
     
    しかしながら、ちゃんとバーコードを読み込めたので
    忙しいこともあり、彼女なりに納得したようだ。

    レシートの品目も「お菓子」であった。

    帰宅してすぐ、開封して詳しく調べてみる。
    首にもどこにもキャップらしき接続部分がない。

    あるいは、まったく人形の菓子なのか。

    試しに指を濡らして帽子のあたりをこすって 
    思い切って舐めてみた。

    とっても甘かった。


    一度床に落として割れてしまったけど 
    なんとか接着させ、今でも部屋に飾ってある。

     

     

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