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2017/02/01
彼はボクサー
左ジャブ
闘う他に能がない
ブロック
殴り合うのが彼のすべて
右ストレート
人を殴り倒すという
日常生活において
やってはいけない行為が許される
スウェーバック
フック アッパー カウンター
ボコボコに殴られて
ボディーブロー
マウスピースが飛び出した
ダウン
何が彼をそうさせる
クリンチ
生まれて 落ちて ぶつかって
頭の打ちどころ 悪かった
ノックアウト
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2017/01/06
色がない。色彩がない。
黒くもなければ白くもない。
灰色の空の下に灰色の庭。
灰色の土、灰色の草、灰色の塀。
灰色の庭に誰かが立っている。
見覚えのない灰色の笑顔を浮かべてる。
灰色の帽子を持ち上げて挨拶すると
灰色の腕が手首から折れる。
折れたところから砂になる。
さらさらさらさら砂になる。
肩も胸も次々と砂になる。
砂になっては地面にこぼれる。
やがて灰色の笑顔も砂になる。
壊れた砂時計みたいに砂になる。
みんなみんな砂になる。
静か過ぎる午後。灰色の庭。
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2016/12/26
ねよう ねよう
ねてしまおう
おきていたって つまらない
あめは ザーザー
くるま ブーブー
ぼく グーグー
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2016/10/21
勝手に入らないで!
ここは あたしの世界。
誰にも邪魔させないんだから。
踏み込めば 決して生かして帰さない。
死ぬほど後悔させてやる。
ここは治外法権。
あたしが法律、あたしが絶対。
法則だって 真実だって 善悪だって
みんなみんな あたしが決める。
うるさい!
でしゃばらないで!
あんたは よそ者、余計者。
狭っ苦しいあんたの世界に
未来永劫 引っこんでなさい!
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2016/10/09
そういうことは
やってはいけなかったんだ。
許されるかと思っていたけど
そうではなかったんだ。
やり過ぎたのだ。
調子に乗り過ぎた。
怒られて、厳重注意。
もうできないのだ。
やめるしかない。
悪気はなかったんだけどな。
そうは思ってくれないのよね。
どうにも仕方ない。
はあ、残念。
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2016/09/26
風が 吹くと
くるくる まわる
まわる まわる
かざぐるま
いつも いつも
そこにいて
風まかせ 芸もなく
くるくる くるっと
まわるだけ
それ以上は 望まない
それ以上は 望めない
くる日も くる日も
くるくる くるくる
くるくる くるっと
まわってばっかり
かざぐるま
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2016/08/21
みんな、どうしたの?
仕事で忙しかったり
日帰り旅行に出かけたり
たまには顔だって見たいのに
なかなか会えない。
「悪い。また今度」
スケジュールぎっしり
連絡すら ままならない。
そんなのやめて
そんなのほっといて
やらなくてもいいことなら
やらなきゃいいのに。
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2016/08/11
夜の闇を恐れなくなったのは
いつの頃からだったろう
太古から綿々と続く
おぞましき体験の集積であろうか
形定まらぬ恐怖の対象が
無数に蠢うごめいていた
あんなものがいるかもしれない
こんなものがいそうな気がする
そんな恐ろしいところに顔をさらしたままでは
不安で不安で とても眠れなかった
小さくて 弱くて
どうしようもないくらい臆病だった
あの頃 あんなに怯えていたのに
今では その記憶すら消えそうになる
いつか平気でいられる夜は訪れるのかと
遠い将来まで心配していた
あのまだ幼き頃の
あの漆黒の 夜の闇
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2016/05/25
あなたの悩みは
ほとんど私の悩みでもあるけれど
あなたの苦しみは
厳密に私の苦しみとは言えない。
ましてや
あなたの痛みは
決して私の痛みではあり得ない。
ただし、その代り
私の苦しみは
厳密にあなたの苦しみではなく
私の痛みもまた
決してあなたの痛みではないはず。
つまり
良くも悪くも
お互い様というわけだ。
ほどほどに温かくて
ほどほどに冷たい。
そのような関係で
いいのではないかな。
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2016/05/20
君は
その名前ほどには
明るくない。
白熱電球ではなく
蛍光灯でもなく
ましてや
LEDではありえない。
優雅だったり
コミカルだったり
おどろおどろしかったり
悲痛だったりして
不安定で 危険で
落ち着かなくて 心配で
ほんのちょっとした吐息に
ゆれて消えそうな
ロウソクの炎が
ふさわしい。
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