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2008/11/23
にわか雨の雨あがり
水たまりに虹が架かる
元気に跳び越える子どもたち
長靴に落ちた
蛙の子
迷子の迷子の
河童の子
傘の花咲き
実がなって
みんなアヒルが
食べちゃった
ペダルに足の届かない少年が
買ってもらった自転車で虹を追う
「どうして僕から逃げるの?」
飛べない自転車では
虹を渡れない
水たまりの虹が
壊れてしまうから
2008/11/22
耳の穴の奥に 小人が住んでいる。
小人は子どもで ふたりいて
右耳は男の子で ミーミ
左耳は女の子で ミミー
どちらもとっても いたずら好き。
真夜中、眠っていると
耳の穴の奥から 這い出てきて
ウーン と背伸びしてから
耳たぶにぶら下がる。
カタツムリの背に乗って
鼻息でラッパをプカプカ吹いたり
ハンマーで鼓膜を
ドンドン叩いたりする。
だから、病気になったときに
耳鳴りがしたりするのは、じつは
ミーミとミミーのせいなのだ。
2008/11/21
気づかない
ふりをしていた
黙って
うつむいたままの
君が
そこにいるのに
なにかに心を奪われ
まるで君なんか
そこにいなくて
昨日のことなんか
もうすっかり忘れてしまって
意味のない笑みを
いやらしく
横顔に浮かべながら
なにも気づかない
ふりをして
むしろ見せつけるように
君がそこからいなくなるまで
君ではない
誰かと
君に関係のない
なにかについて
ずっと
話し続けた
迷いがあった
そんな気がする
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2011/07/31 23:37
「こえ部」で朗読していただきました!
2011/01/24 13:39
朗読していただきました!
ケロログ「しゃべりたいむ」かおりサン
2008/11/21
母親は
魔女に違いない。
呪文を唱え、
我が子に魔法の目薬をさす。
一滴で、見えるものが見えてくる。
二滴で、見たいものが見えてくる。
三滴で、見るべきものが見えてくる。
四滴で、見えないものが見えてくる。
五滴で、見たくないものが見えてくる。
六滴で、見てはいけないものが見えてくる。
七滴で、見えるものが見えなくなる。
2008/11/19
ハネなしチョウの墓を
たくさん見つけた
それは鼻なしゾウの
たくさんの足跡
ハネなしチョウの群を
鼻なしゾウが踏んだ
その足跡が
ハネなしチョウの
墓標なのだ
ただそれだけなんだけど
なんとなく笑ってしまう
ハネがないのにチョウだなんて
鼻がないのにゾウだなんて
2008/11/18
僕がどうしようもない缶詰だった頃
君はピッカピカの缶切りだった
僕の汚れたブリキの蓋を開けたから
銀色の君の刃先が汚れてしまったね
その君の刃先の汚れを取ろうとして
拭った僕の手がまた汚れていたっけ
結局のところ 僕は僕を見失い
あれから救いようのない空缶さ
今頃 君はどうしているだろう
僕の腐った中身を食べてしまって
2008/11/17
牛よ 牛
牧場の牛よ
おまえの脇腹の模様は
あの空の雲そっくりだ
遠く厩舎を離れ
その小さな目で
なにを見るのか
おまえが飲み込んだ草は
おまえの胃と口との間を
なん度も往復するだろう
だから 牛よ
牧場の中の牛よ
あの錆びた有刺鉄線の柵は
おまえの地平線なのだ
反芻の日々
繰り返しの日々
そこから日は昇り
そこへと日は沈む
2008/11/16
傷口を舐めてあげる
ほら まだ血がにじんでる
あんた 野鼠みたいに怯えてる
あたしのこと なんにも知らない
傷口を塞いであげる
こんなの 使い捨ての唇
傷は浅い 舌の先が底まで届く
あんたのこと なんにも知らない
傷口を開いてみようか
なんだか苛めてみたくなる
この痛み ずっと忘れないでね
あたしたちのこと 誰も知らない
2008/11/16
あなたがたによくよく言っておく。
どのような窮地に陥ったとしても
あなたがたは神をあてにしてはならない。
なぜなら、あなたがたを救えるのは
あなたがたでしかないからである。
つねに神はあなたがたとともにあり
あなたがたが生きているということが
そのなによりのあかしである。
そのようなあなたがたによって
あなたがたが救えないとすれば
ともにある神によってもまた
あなたがたは救えないのである。
2008/11/15
家の近くの 森の奥に
ピンクのフクロウがいる
奇妙なことに
その肩の上で
ピンクの丸い顔が
ころころ 転がる
普通のフクロウは ともかく
ピンクのフクロウは いつも
「今晩は」
と 静かになく