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2014/10/30
私の家の裏庭には
色々な「楽木」が茂っています。
「楽木」は楽器の音のする木のこと。
たとえば、この木は「ピアノの木」だから
枝の葉が地面に落ちると、ピアノの音がします。
あの木は「ヴァイオリンの木」よ。
他にも、フルート、チェロ、マリンバ、トランペット、・・・・
秋には優雅にシンフォニーやコンチェルトを奏でます。
「うるさいわね」
近所の家から、そんな声も聞こえます。
でも、あれは
「言葉」の一種「文句の木」の葉音だから
あまり気にしなくてもかまわなくてよ。
2014/10/28
「おめでとう」と言われて
素直に喜ぶ人がいる。
「関係ない」
そう思う人もいるだろう。
「ふざけるな!」
怒る人だっているかもしれない。
ひとつの言葉なのに
受け止め方はいくつもある。
だから問題なのは
言葉ではない。
それが置かれる位置と置き方とタイミングだ。
2014/10/26
「セノコノヒラソ、って言ってみろ」
また命令するのね。
「セノコノ・・・・」
あれ、なんだっけ?
「セノコノヒラソ、だ」
「・・・・ヒラソ」
「続けて言わなくちゃダメだ!」
怒鳴らなくたっていいのに。
「セノコノヒラソ」
「よしよし!」
なんだか知らないけど、妙に喜んでる。
「次は、あたしにセノコノヒラソして、って言え」
なんだかいやな感じだなんだけど
殴られるのはもっといやだから・・・・
「あたしにセノコノヒラソして」
「よしよしよし!」
とっても喜んでる。
「それじゃ、しょうがないな。
たっぷりセノコノヒラソしてやろう」
そうしてあたしは、セノコノヒラソ
とかいうのを、たっぷりされてしまった。
2014/10/21
わたくしという意識は
青白き炎のごときもの
闇を焦がし
溜息にゆれ
燃えておれば あり
消えておれば なし
2014/10/20
機械の森には
たくさんの自販木 生えている
コインを入れると
缶入り果汁が出てきたり
箱入り木の実が出てきたり
偏心カムの風に吹かれ
クランクの葉が規則的に揺れる
滑車の枝からチェーンが垂れ
てこの原理で浮き上がる根っこ
ゼンマイの茂みに隠れ
ボルトとナットが交尾中
ピストン運動を続ける
内燃機関の虫たち
油圧の池
潤滑油の小川
歯車草の花弁が回転すれば
機械仕掛けのブリキ鳥
時を告げる
2014/10/18
希望は
泡のように
ブクブクと
水底で生まれ
フワフワと
水中を昇り
パチンッと
水面で割れて
それっきり
消えちゃった。
2014/10/16
他のことなど考えられず
そのことばかり繰り返し
繰り返し考えて
話は先に進まない
頭は尻に生えてない
お姉ねえは嫁に行かれない
ないない尽くしで夜が明けて
今朝けさも早はよから
お馬の稽古けいこ
ハイシー ド−ド−
ハイ ド−ドー
2014/10/14
たとえ
宝石でなくても
たとえ
箱になっていなくても
みんな
心のどこかに
見えない宝石箱を
持っている
2014/10/12
募る想いは
あるけれど
今宵
なにも言わずに
眠りましょう。
せめて
眠るふりくらい
してみましょう。
2014/10/10
踊りたかったから
ダンサーは
ダンサーになったはず。
だから
踊れなくなった
ダンサーは
振付師になるかもしれない。
だけど
踊りたくなくなった
ダンサーは
いったい
なんになればいいのだろう。