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2013/10/28
不安はなく
心残りもなく
寝返るように
何気なく
夢見るように
微笑みながら
眠るように
本当に
眠るように
やすらかに
消えたい。
2013/10/26
彼女を家に呼んで
料理する
原形を留めないまでに
細切れにして
肉団子にしようか
ハンバーグにしようか
それとも
生姜焼きなんかどうだろう
どうだろうって
どうでしょう
彼女の望みは
なんだったのか
どうでもいいけど
気にはなる
気にはなるけど
気にしない
どうせ僕が食べるわけじゃない
2013/10/26
形のない悲しみ
大きさのない虚しさ
位置のない苛立ち
ああ 助けて
私は水虫
ああ 水虫の幽霊
そんなに嫌わなくても
いいじゃないの
水虫に権利を
水虫に自由を
水虫に愛を
ああ 痒い
とても痒い
身も心も痒い
ああ ああ ああ
ただ痒いばかり
水虫の幽霊
2013/10/24
砂の惑星には水がない。
水がないのに雨は降る。
砂の雨、つまり降砂だ。
空を見上げてはいけない。
砂が目に入ったら失明する。
降った砂が集まり、川になる。
砂の川、つまり流砂だ。
支流が集まり本流になる。
蛇行しながら海へ流れる。
砂の海、つまり洋砂だ。
砂漠と違って歩けない。
自分の重さで沈んでしまう。
泳げないなら溺れて死ぬ。
でも、船に乗れば大丈夫。
砂の船、つまり漂砂だ。
焼けた砂が固まったもの。
水の海の流氷に似ている。
海だから魚だって釣れる。
砂の魚、つまり泳砂だ。
食べられるが旨くない。
まるで
そう、まるで
砂を噛むよな味がする。
2013/10/21
その星は 海ばかり
大陸どころか
島もない
魚一匹
泳いでおらず
プランクトンさえ
いないのだ
塩分含まぬ
純水の
海 海 海 海
恒星の 光受け
屈折して 反射して
宝石みたく 輝くは
水の惑星 青い星
キラキラ キラリ
キラ キラリ
2013/10/20
両手に握った枝ふたつ
うつろな瞳の巫女ひとり
花髪飾り 白い足袋
紅の袴 紺の帯
巫女は踊る リスになり
柳に揺れて 竹に跳ね
巫女は踊る 谷を抜け
沼を渡り 山を越え
森のけものに囲まれて
素足の裏を舐められて
丸い月 ひとつ
おっぱい ふたつ
帯をほどいて 笛吹いて
ぴいひゃら ぴいひゃら
今夜はうれしい村察
ぴいひゃら ぴいひゃら
ぴいひゃらら
2013/10/17
小さな池に薄氷
ひやりと張りて
曇り空
逆さに映し
小石投げよか
投げまいか
凍った空の
一枚や二枚
割れずして
なんとしよ
爆弾降るやも
しれぬのに
2013/10/16
川の流れ
浮かぶ舟
空を見上げりゃ
雲がゆく
昨日は過ぎ去り
今日はここ
明日は明日の
風が吹く
2013/10/16
「あたしの切り札はこれよ」
女は服を脱ぎだした。
やれやれ、またか。
これだから女ってやつは、まったく。
「残念ながら」
おれは首を振る。
「おれはロボットなんだ。
人間の色気なんか通じない」
「あら、奇遇ね」
彼女は不敵に笑う。
「じつは、あたしもロボットなの」
なるほど。
あらわになった金属部品の
その悩ましいまでの
光沢と形状。
2013/10/14
情熱の動脈 哀愁の静脈
脈打つ心臓 膨らむ肺臓
痙攣するは 胃と腸と横隔膜
「とっても素敵な
内臓露出ファッション!」
隠しきれない骨格標本の悩ましさ
体液に濡れる人工臓器
衝撃の子宮外妊娠
寄生虫のダンスホール
悪性腫瘍の謝肉祭
「むしろ 隠すなんて 恥ずかしい」
未来における流行の最先端では
皮膚と筋肉が透明になる。
刺激を求めて
どこまでも恥ずかしくなる。
やがて楽しい
透明人間の時代がやってくる。
Yaeh!