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2013/09/30
その身は爛れ腐り
壊死し 焼かれ
灰となれども
その空蝉が残せし種々
わずかなりとも
代々の巷に残りせば
金色の両翼
炎の如く持て上げ
意識と呼べる無限の虚空に
虹を流しつ
飛翔せん
2013/09/28
うららかな 春の日差し
満開の桜の木の下
浴衣姿の若い女 昼寝中
浴衣の裾 めくれてる
胸もと はだけてる
帯さえ ほどけてる
昼寝にしては いとおかし
酔っぱらい 指さし笑う
唇から 紅が垂れ
腹から 日本刀生え
酔っばらい 地面に吐く
女の悲鳴 澄んだ空を裂く
風に舞う 桜の花びら
散ってなお まだ見頃
2013/09/26
うそ泣きの
すすり泣きなど
してみるに
相手にされず
ほんに泣き
2013/09/25
水面をめくるにはコツがいるんだ。
まず、いかにもめくるような態度で
水面に近づいてはいけない。
察しのいい水面に
用心されてしまうから。
「ちょっと手を洗おうかな」
そんな独り言をつぶやきながら
しかし静かに水面に近寄る。
両手を水に半分ほど入れて
親指は濡らさず空中に残し、
人差し指は水中に潜らせる。
そして、波紋が立たぬよう注意しながら
両手同時に親指と人差し指で水面をはさむ。
そのまま間髪をいれず
ただし破れぬよう手首をしならせながら
優雅に水面をめくってしまう。
どんな世界が垣間見れるか
それは
めくってからのお楽しみ。
水面十色、
同じ景色はふたつとない。
なお、この方法は
同じ水面に一度しか使えない。
めくりに失敗してしまったら
もう仕方ない。
そこは諦めて
別の水面に挑戦してみるんだね。
2013/09/24
ゆれる影絵は
湖に
浮かぶ小舟の
男と女
そろいの浴衣
はだけては
ほどけて逃げる
蛇の帯
舟べり ゆれて
櫂 はずれ
ぬらら ぬるらら
沈みゆく
どこまでも
ああ どこまでも
深い 深い
水の底
2013/09/22
ぼんやりしてたら
投げ槍が頭に刺さっちまった。
ふん、
どうでもいいや。
こんなの引き抜いて
あっちに向かって投げてやれ。
あっ!
いけね。
頭の方を投げちまった。
2013/09/20
みんな、どうしたの?
なぜ そんなことするの?
こんなことや あんなことまで
するなんて。
ああ、ひどい!
なぜ そんなことするの?
なにもしなくていいのなら
なにもしなければいいのに。
2013/09/19
彼女は女の子で
僕の恋人でもなんでもなくて
もちろん片想いの相手でもなくて
そのへんにごく普通にいるような
ただの薄っぺらい女の子に過ぎないんだけど、
それでも
あんまりにも薄っぺらいもんだから
もう
ちょっとでも風が吹こうものなら
あっちへフラフラ
こっちへヒラヒラ
頼りなげになびいたり
あてもなく飛ばされたりして
水たまりに落ちて濡れるんじゃないか
空に舞い上がって
遠くへ行っちゃうんじゃないかって
ちょっとハラハラしたり
ドキドキさせられたりすることも
ないこともないというか
あるにはあるんだ。
もっとも
そんな薄っぺらい彼女がどこでどうなろうと
そんなの
まったく恋人でも
片想いの相手でもない僕には
ちっとも関係ないことではあるんだけどね。
2013/09/18
図書館で偶然見つけた素敵な少女は
とても魅力ある変な顔の持ち主だった。
どうしてこんなに変な顔なんだろう。
きっと異民族の血が流れているに違いない。
イスに腰かけて生意気に細い足を組み、
絵本を下敷きにして何か書いていた。
こんな時、有名人だったらなぁ、と思う。
彼女が気づいて声をかけてくれるだろう。
家が近所だったら、行ったり来たりして
変な顔の少女と友だちになれるのに。
2013/09/17
欲しい。
今すぐ
この子が欲しい。
拾った雑誌の
グラビア写真を見て
そう思った。