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2012/08/07
うたかたの
ひとつ
ふたつ
見つかって
よっつ
いつまで
もう
ななつ
やっと
ここのつ
とうと
割れ
2012/08/05
巨大なショッピングセンター。
どんなものでも売っている、と評判だ。
食品コーナーなんか
見てまわるだけで満腹になる。
おそらく疑似加工食品だろうが
人魚の刺身や河童の干物まで並んでいる。
玩具コーナーの戦争ゲーム盤の隣には
さりげなく核兵器手作りキットが置いてある。
悪質な冗談としか思えない。
季節商品の納涼グッズ・コーナでは
風鈴のように幽霊が吊り下がっている。
その、うらめしそうな顔、顔、顔。
しかし、そんなものはどうでもいい。
あれは、どこに売っているのだろう。
ここへ来たのは、あれを買うためなのだ。
「商品を探しているのですが・・・・・・」
制服姿の従業員に尋ねてみた。
「はい。何をお探しでしょう」
なんて素敵な商業スマイル。
「あ、愛は、どこにありますか」
赤面するのが自分でわかった。
「愛ですか?」
「そうです。愛が欲しいのです」
もう恥ずかしがってる場合じゃない。
「本日の目玉商品のやつですね」
「そうです。それです。それに違いありません」
涙で視界がにじんだ。
やはり愛は売っていたのだ。
しかし、従業員は申し訳なさそうな顔をする。
「すみません。
愛は、午前中に売り切れてしまいました」
2012/08/04
妹は父の子を産んだ。
女の子だった。
でも、母に食べられてしまった。
私の妻も一緒に食べられた。
この妻は、私の姉でもあった。
私が父を殺すと、母は自殺した。
この母は、私の祖母でもあった。
妹は頭がおかしい。
だから、私の子も産んだ。
生まれた息子は狂っていた。
少なくとも、私より狂っていた。
私は息子に殺されるかもしれない。
なんとなく、そんな気がする。
私には息子を殺す資格がない。
なぜか、そう思う。
私が殺されたら、妹はどうするだろう。
泣いてくれるだろうか。
息子を食べてくれるだろうか。
それとも、息子の子を産むのだろうか。
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2012/08/03
「どうしたんだい?」
友だちが心配してくれる。
「なんでもない」
「顔色が悪いよ」
君、余裕があるんだね。
「・・・・・・あのね」
「うん」
「片想いの彼女がね」
「うん」
君に説明してどうなる。
「妊娠しちゃった」
どうもなりはしない。
「・・・・・・そうか」
君、戸惑うんだね。
「父親はわからないって」
「・・・・・・ふうん」
君、ホッとしたね。