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2013/06/04
なにせ
糸なんだから
切れることもある
けれど
糸なんだから
結べないこともない
ただし
どうにも
もつれたる糸の
やるせなき
哀しみ
2013/06/02
夕闇の荒野をひとり、
くたびれた旅入が歩いていた。
遠く人家の灯りが見える。
頼めば泊めてもらえるかもしれない。
不用心な事に
その家の玄関の扉は開いていた。
見知らぬ家族が食卓を囲んでいる。
老婆がうなずく。
「おかえり。遅かったね」
若者が立ち上がる。
「おかえりなさい。お父さん」
美しい女が微笑む。
「疲れたでしょう。あなた」
旅人は走って逃げる。
「嘘だ。こんなのデタラメだ」
裏返しの星座には見覚えがない。
流れ星が夜空を昇ってゆく。