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2011/03/05
惑星直列の重力変異により時震および時崩れが発生し、
つまり時空が乱れ、未来に帰れなくなってしまった。
「おいおい。冗談じゃないぜ!」
俺は「接続中」の表示をいつまでも続けるモニターへ
壊れない程度のデコピンをくれてやった。
なにが最新式最軽量パーソナル・タイムマシンだ!
処理が遅い。接続が悪すぎる。
待ってるうちにオーパーツになっちまうよ。
あの恐ろしい叫び声は、ティラノサウルスか。
こんな野蛮な恐竜時代にひとり残されては堪らない。
近くの時空に緊急中継基地があるはずだ。
とりあえず、そこまで移動しよう。
俺はマシンの時空ベクトル設定の変更を試みた。
「あっ、だめだめ。変更にはパスワードが必要だよ」
見上げると、ブラキオザウルスという名の
首の長い恐竜の顔がそこにあった。
そして、その顔がニッコリと笑った。
いやいや。
乱れているのは時空ばかりではないぞ。
2011/03/04
大きな星だった。
「あれが落ちてくるの?」
「うん。あの星が落ちてくる」
「どこかに逃げられないの?」
僕が問いかけると
お父さんは静かに答えてくれた。
「逃げられるけど、どこに逃げても同じらしいよ」
「お父さんは、こわくないの?」
「こわいよ。こわいけど、せっかくだから見ておこうと思って」
「注射されるとき、つい針の先から目がはなせなくなるみたいに?」
「ははっ。まあ、そんなもんだな」
「ロケットで脱出した人もいるんでしょ?」
「ああ、そうらしいね」
「うらやましいな」
「いやいや、あれはあれでなかなか大変な仕事らしいよ」
「そうかな」
「お父さんなんか、頭が下がるよ」
僕のおなかが鳴った。
「ははっ。夕飯を食べよう。まだ落ちてくるまで時間あるから」
僕は家に走った。
お母さんが心配して待ってるはずだ。
2011/03/03
猫のしっぽの
ネコヤナギ
犬のしっぽの
エノコロヤナギ
しっぽ
ふれふれ
春や来い