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2013/02/03
壊れてしまった女の子の部品を集めて
記憶を頼りにもう一度組み立ててみた。
「名前は?」
「あたし、リカちゃん」
「好きな食べ物は?」
「ワンセグケータイのムニエルよ」
「得意科目は?」
「学校は好きよ。でも、教室はきらい」
「趣味は?」
「あら、知らない人に教えてはいけないわ」
「まさか、おれを忘れたのか?」
「あら、あなたもリカちゃん?」
元に戻ってはいないけど
もともと変な子だったから
まあこんなものかな。
2013/02/02
「あの、お尋ねしたいのですが」
私は、異国の地で異国の人に
自国語で尋ねてみた。
「サナトダミアに続く道は、これですか?」
異国の人は無表情だった。
あるいは、あやしい異人である私に
あやしい言葉で呼び止められ、
どんな表情をすればいいのか
迷っていたのかもしれない。
しかし、異国の彼は首を振り、
別の道を指さした。
「サナトダミア」
私は驚いた。
そのような名前の地名か建造物か
あるいは観光名所であるか知らないが
まさか本当に存在するとは
思ってもいなかったから。
とりあえず礼を言わねばなるまい。
「ありがとうございます」
すると、異国の彼が初めて表情を浮かべ、
私に微笑んだ。
「サナトダミア」
さて、この示された道を
私は歩まねばなるまい。
あの異国の彼が
いつまでもこちらを見ているので。
2013/02/02
こちら、私がおりますところは
毎回びっくり死の犠牲者が多数出ることで有名な
「世界びっくり箱コンテスト」のメイン会場であります。
箱を開けたら蒸気機関車が飛び出すオーソドックスなタイプのものから
ミニ・ブラックホールを閉じ込めた最先端技術の応用作品まで
世界中からありとあらゆる心臓に悪そうなびっくり箱が集結しました。
私は仕事柄、スペアの人工心臓を半ダース用意しましたが
もう2個しか残っておりません。
やはり今回も不意打ちビックリが主流でありますが
箱を開けたら自分の死体が入っているなど
考えオチならぬ考えビックリも少なくありません。
昔からある拷問道具というか処刑道具としか思えないもの、
箱の中で隠れてタブーを犯しているもの、
全然びっくりするような要素がないのにびっくり箱と称しているので
逆にびっくりしてしまうものまで、とにかく驚きの連続。
まさに巨大なびっくり箱の中に落っこちてしまったような
錯覚と申しますか、変な気分を味わっております。
それはともかくですね、この会場、
落とし穴みたいな入り口はたくさんあるんですけど
出口らしきものがいくらさがしても見つからなくて
本当にびっくりなんですけど
私、いい加減びっくり疲れました。
2013/02/01
みんなで輪になって踊っていたら
ひとり抜け、
ふたり去り、
だんだん人数が減って
とうとう僕と彼女ふたりだけになった。
「一緒に踊ろ」
「いや。ふたりじゃ輪になんない」
彼女も消えてしまった。
ついに僕ひとり。
ひとりで輪になって踊るのは難しい。
とても
とても難しい。