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  • 時の墓場

    2009/02/12

    暗い詩

    夜 眠れなくて

     目覚まし時計の
     時を刻む音が

     闇に響く


    どうしても 眠れなくて

     目覚まし時計を
     押入れの中に

     放り込む


    このまま 眠ってしまえば

     押入れの中は
     闇に葬られた

     時の墓場
     

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  • 毒りんご

    2009/02/11

    暗い詩

    闇に潜む魔女は
    呪文を唱える 醜い老婆

    頭蓋骨の割れ鍋で
    グツグツ煮ては ニタニタ笑う


     コウモリの羽 トカゲの尻尾
     処女の唾液 黒猫の腋毛

     血に汚れた 札束
     商人の 二枚舌


    ドクロの杖で かきまわし
    煮汁を塗れば 毒りんご

    舐めれば 生きて腐り
    食べれば 腐りて死ぬ

    死ぬまで 気づかず
    死んだら もう気づけない
     

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    • Tome館長

      2014/09/22 01:31

      「さとる文庫 2号館」もぐらさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/09/18 02:58

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 君の似顔絵

    2009/02/11

    愛しい詩

    君の似顔絵を
     なみだで描いた


    君の瞳は
     湖面の月

       小さな波紋に
        ゆれて壊れる
     

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  • 天女の嘆き

    天女の衣
     やぶれはて

    悲しい思い出
     砂の数

    叶わぬ願い
     星の数

    鬼の角に
     帯かけて

    松葉みたく
     ゆれましょか
     

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  • 不思議な切手

    それを貼りさえすれば
    どこへでも届くという不思議な切手。


    どんな遠いところでも
    どんな危険なところでも
    どんな変てこなところでも

    その切手が貼ってさえあれば
    必ず届いてしまうという。


    天の川のお姫様のところへも
    火の山にすむ竜神様のところへも
    会えなくなったお母様のところへも

    その切手が貼ってあれば
    なぜか届いてしまう。


    そんな不思議な切手がもう一枚
    届いたところにもあったなら

    返事が来るかもしれないね。
     

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    • Tome館長

      2012/10/29 20:56

      「しゃべりたいむ・・・」かおりさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2011/10/29 18:59

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 見知らぬ夏

    2009/02/08

    変な詩

    ある夏の昼下がりのことでした。


    縁側に見知らぬ猫が寝ていました。
    寝てるふりをしていたのかもしれません。

    裏庭では見知らぬ犬が吠えていました。
    野良犬でない証拠に首輪をしていました。

    枕もとには見知らぬ女が座っていました。

    随分と心配そうな顔をしており、
    どうも妊婦のようでした。


    突然、私は
    胸が苦しくなりました。


    ふとんを跳ねのけ
    立ち上がり、

    猫を踏み、犬を蹴り、

    勢いに乗って
    女を押し倒しました。


    それらは

    すべて
    ある夏の昼下がりに

    見知らぬ私がしたことです。
     

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  • 水浴び

    少年は

      水色の羽の蝶を
       追っていた


    聞こえてくるのは

      鳥のさえずり
       水の音


    針葉樹に囲まれた

      宝石のように
       愛らしい湖で

         水浴びしてる


    溶けそうな
     肌の色

       それとも
        鱗のない魚


    髪をかきあげ
     振り向いた

       美しい少女の
        目は複眼
     

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  • 泣き兎

    あたいは兎 泣き兎
    赤い目をして 泣いてるの

     なぜ泣く 兎
     笑いなさい

    なぜかしら 笑っていると
    すぐに泣きたくなっちゃうの

     うそ泣き 兎
     笑えない 

    笑っていると 空しくて
    泣いていると 楽しくて
     

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  • 汚れた人形

    2009/02/07

    暗い詩

    冬の浜辺の
     砂に埋もれた人形を

       繰り返し撫でるは
        波の白い 手と手と手


    服汚れ 髪乱れ
     腕千切れ

       それでも唇は
        奇妙に微笑んでいる


    持ち上げれば
     細き首は折れ

       ガラスの目玉
        ボトリと落ちる


    傷心の君を
     胸に抱けど

       灰色の砂
        ただ零れるばかり
     

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  • 夜が泣く

    2009/02/06

    暗い詩

    いまにも泣きそうな
    本当に泣いてしまいそうな

    そんな夜がある。


    みんなが楽しそうでも
    いくら君が笑わせようとしても

    なおさら泣けてくる


    そんなやるせない
    どうしようもない

    もう泣くしかないような


    そんな夜がある。
     

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    • Tome館長

      2013/06/10 00:14

      「さとる文庫 2号館」もぐらさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/09/14 16:57

      「こえ部」で朗読していただきました!

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