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2014/01/02
「もしもし。あなた」
呼びかけられて振り向いたら
宇宙人だった。
本物の宇宙人ですよ
と言わんばかりの宇宙人だった。
「はい。なんでしょう?」
「近くにトイレ、ありませんか?」
おれは地球人代表ということになるのだろうか。
「ええと、公衆便所なら、この先に公園があって・・・・」
なんとか身振り手振りで説明を試みた。
「助かりました。ありがとうございます」
宇宙人は頭らしきものを信号灯のように回転させ、
喜びらしき感情の表現をしてくれた。
それから、そのまま空へ昇っていった。
空を見上げながら、おれは首をかしげる。
(おいおい、トイレはどうしたんだよ。
使いたいのは、おまえじゃないのかよ)
目を凝らすと
はるか上空に雲霞のごとく
無数の黒い点々が見えるのだった。