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2014/01/05
言葉つくろえば
心やぶるる
笑顔ととのわば
涙ながるる
真綿のごとく
首しめる
浮世の帯に
からまれし
嗚呼 われ
馬鹿ゆえに
鋏つかえど
やりきれぬ
2013/12/16
しめやかに通夜終わり
にぎやかに埋葬始まる
祈る冥福 踊る喪服
調子はずれの笛太鼓
うしろめたい行列見下ろし
いまわしき鳥が叫ぶ
青い空と白い未亡人
生臭坊主がよだれを垂らす
鐘の音がいつまでも
いつまでも耳の奥に残る
泣く赤子 吠える犬
ほれほれ 猫が股なめる
墓地への細道
坊主が異教の呪文を唱え
そうして
こうして
誰かが誰かを埋葬す
2013/12/06
聞こえない。
そんなかすかな祈りじゃ
聞こえない。
神さまに言うのかい?
耳を澄ませって
言うのかい?
こんな
どこもかしこも
雷鳴のような
雑踏の中で。
2013/11/20
舟に揺られ
いささか酔ったれど
岸は消えたか
崩れたか
水は濁って
底見えず
流るるばかり
遣る瀬ない
2013/11/15
期待しないけど
諦めたわけじゃない
好きじゃないけど
きらいになったわけじゃない
ただちょっと
ほんのちょっと
疲れてしまっただけなんだ
君が望み続ける
僕の世界に
2013/11/12
主は
何処より来たり
主が
此処に在らずんば
何処へと去りぬ
幾億 幾万 幾千の
憂いを 迷いを 災いを
捨て置きしまま
2013/09/30
その身は爛れ腐り
壊死し 焼かれ
灰となれども
その空蝉が残せし種々
わずかなりとも
代々の巷に残りせば
金色の両翼
炎の如く持て上げ
意識と呼べる無限の虚空に
虹を流しつ
飛翔せん
2013/09/26
うそ泣きの
すすり泣きなど
してみるに
相手にされず
ほんに泣き
2013/09/07
いい眺めだ。
それはそうであろう。
そうでなければならんのだ。
この崇高なる象牙の塔を築くだけのため
罪なき幾億幾万幾千もの象が
犠牲になったのだから
代償もなく。
2013/09/01
静脈と動脈の絡む積乱雲。
骨と産業廃棄物よりなる灰色の砂漠。
巨大なムカデを連想させる流民の群。
その頭と尻尾は砂塵に霞む。
ありとあらゆる人種の肌が重なり、
ありとあらゆる民族の顔が交わる。
痛みを伴い、歩みは重く、
目は虚ろ、悲しみは深い。
「だめ。そっちへ行っちゃ、だめ」
かすかに少女の声がする。
しかし、その声は
蜃気楼のように遠く近く
誰の耳にも届きはしない。
はがれ落ちた無数の鼓膜が焼けている。