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    Works 3,356
  • ふたり

    2016/04/15

    暗い詩

    彼はビョーキであって

    彼女もビョーキであって

     

    ふたりは

    同病相憐れむの図

    なのであって

     

    恋人とか

    そんな生ぬるい関係

    ではなくて

     

    ふたりは

    互いの糞便を喰い合うほどの仲

    なのであって

     

    互いを苛さいなみ

    互いを辱はずかしめ

     

    互いを傷つけ合うしかなくて

     

    救いようがなくて

    手の施しようがなくて

     

    見て見ぬふり

    するしかなくて

     

    そんな

     

    どうにも分かち難く

    どうにも始末に困るばかりの

     

    どうしようもない

    ふたり

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  • 甘ったるい

    2016/04/03

    暗い詩

    やり切れん。

    もう我慢できん。

     

    甘い、甘い。

    甘ったるい。

     

    とにかくヘドが出るほど甘ったるいのだ! 

     

     

    ベチャベチャして 

    ヌルヌルして 

     

    口の端からダラダラ垂れるわ 

    手にベタベタくっつくわ 

     

    服は汚れるし 

    床も壁も天井まで汚れ 

     

    そのうち虫まで這いまわるので 

    気持ち悪くて仕方がない。

     

     

    根本的に味覚がおかしいのではなかろうか。

     

    それも舌先ではなく 

    脳の中枢神経が。

     

     

    先天的に鈍感なのか 

    後天的に壊れてしまったのか。

     

    いずれにせよ 

    こうまで悲惨な症状を呈してしまっては 

     

    もう今さら救いようがあるまい。

     

     

    とってもお利口さんの

    お子ちゃまの 

     

    なんでもお仕着せの 

    お約束の・・・・ 

     

    ええい! 

     

     

    言っても無駄。

    見せても無駄。

     

    何をやっても無駄! 無駄! 無駄! 

     

     

    できるなら 

    関わり合わぬに越したはないが 

     

    いつでもどこでも 

    恥知らずに現れやがって 

     

    どうにもこうにも 

    始末に負えん。

     

     

    やれやれ 

    まったくもって 

     

    甘ったれには困ったものだ。

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  • やさしさ批判

    2016/01/28

    暗い詩

    そろそろ やっつけねばならない 

    と思っている 

     

    やさしさを 

    やさしさを無批判によしとする風潮を 

     

    やっつけねばならない 

    それこそテッテ的に やっつけねばならない 

     

    そう思っている 

     

     

    それはまた なぜ 

    と問うなら 

     

    甘えるな 頼るな 

    それこそ気づけ 自分で考えろ 

     

    と冷たく 冷たく 冷たく言い返したい 

     

     

    根本問題をさておき とりあえず 

    その場の雰囲気を取り繕うためだけみたいに 

     

    やさしくなりたくはない

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  • 台風の夜

    2016/01/21

    暗い詩

    台風が上陸するという 
    この夜に 

    市内全域に避難勧告が発令された 
    この時に 

    わたくしは 出かけなければなりません。


    狭くとも安らかで 
    生ぬるき棲み家を抜け出し 

    暴風雨を突っ切って ぬばたまの闇を 
    ひとり黙々と 歩んでゆかねばなりません。


    まったく本当に そら恐ろしいのは 
    暴風雨による家屋の被害などではありません。

    精神を甘やかせ 封じ込め 
    怠惰と腐敗を誘う 天国の安寧なのであります。

     

     

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  • 笑えない

    2015/12/29

    暗い詩

    わたしは 

    あの人たちのように 笑えない 

     

     

    あの人たちのように 

    自然で 

     

    じつは 自然ではないのかもしれないけれど 

    ともかく 

     

    あんなに 自然な感じには 

     

    笑えない

     

     

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  • 駆逐せよ

    2015/12/19

    暗い詩

    ウケよくて 
    親しみやすく 

    目立っているが
    つまらない 

    挨拶みたいに 
    どうでもよさそな 

    噂のように 
    どこにでもありそな 

    世の流れに 
    タダ乗りしてるだけの 

    ニセモノども 
    マガイモノども 

    目障りなだけで 
    なんの貢献もせぬ 

    唾棄すべき
    インチキ至極な輩を 

    駆逐せよ! 
    駆逐せよ! 


    (逆に駆逐されたりして)

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  • 夜中のセミ

    2015/12/13

    暗い詩

     ツクツク オーシ
     ツクツク オーシ 

    12時も近く
    こんな夜中に鳴くセミのいる 


    暑くて寝苦しいからか 

    常夜灯がまぶしくて 
    眠れないからか 


    それとも 

    もう鳴いていられる時間がないと 
    わかっているからか 

     

     

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  • ころんだ

    2015/10/22

    暗い詩

    おとうさんが ころんだ 

    おかあさんが ころんだ 

    おにいさんが ころんだ 

    おねえさんが ころんだ 

    とうとう ぼくも ころんだ 

    もうすぐ いもうとも ころぶ 

    だから おまえも ころぶだろ 

    みんな みんな ころぶだろ 


    だるまさんが ころばした

     

     

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  • 召されるべき子ら

    2015/10/15

    暗い詩

    召されるべき子らは 
    すみやかに召されるべきであろう。

    もし召されぬまま大人になれば 
    やがてかれらの子孫が生まれてしまう。

    それらのうちの多くは 
    やはり召されるべき者に違いない。


    召されるべき子らが召されぬため 
    召されるべき者が増えてしまう。

    召されるべきにあらざる者まで 
    召されるべき者とみなされてしまう。


    なんのために生まれ 
    なんのために生きんとするか 

    それすらも 
    わからなくなってしまわぬよう 

    あえて今 
    召されるべき子らを召させたい。

     

     

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  • 戦争の話

    2015/09/27

    暗い詩

    昔、戦争があった。

    多くの人々が戦い 
    多くの人々が苦しみ 
    多くの人々が亡くなった。


    それだけ。

    昔あった戦争の話。

    つまんない話だけど 
    本当にそれだけ。

     

     

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