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  • 淋しくはない

    2012/06/03

    愉快な話

    そうなの。
    あたし、こう見えてもOLなの。


    なのにね、
    仕事で失敗ばっかりするから

    部署の偉い人から怒られちゃって
    デスクのある部屋から追い出されて

    こんなふうに

    罰というか見せしめとして
    会社の廊下に立たされてるの。


    黄色い帽子かぶせられて
    赤いランドセルしょわされて

    こんな青いブルマーまではかされて

    それから、ええと

    よくわかんない色のタテ笛というか
    リコーダーなんか持たされて

    いかにも吹いてるような真似とか
    させられてるの。


    ひどいよね。
    ばかにしてるよね。

    まるで小学生扱いだよね。


    ホント、
    小学生なら泣いちゃうよ。

    あたし、もう大人だから
    泣いたりしないけどさ。


    まあ、でもね、
    そんなに淋しくはないんだよ。


    だってね、あたし
    こう見えても

    本物の小学生の時から

    リコーダー吹くのだけは
    得意だもん!
     

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    • Tome館長

      2012/06/18 23:14

      ケロログ「mirai-happiness☆」舞坂うさもさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/06/03 14:56

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 少女窃盗団

    2012/05/28

    愉快な話

    君も噂ぐらい聞いたことあるだろ?
    今世間をお騒がせ中の少女窃盗団について。


    彼女ら、かわいい顔してやるこたぁ凄い。

    なんでも盗む。
    なんでも手に入れる。

    お金も貴金属も宝石も極秘情報も
    美少年の童貞だって奪っちまう。


    警察やガードマンは子ども扱い。
    学校の教師なんざ赤んぼ扱い。

    中年オヤジの下半身逆撫でにして
    若いもんの空っぽ頭、引っ掻きまわす。


    いやいや。
    君に無関係な話じゃないよ。

    これが届いたんだ。
    少女窃盗団からの予告状。


    心当たりあるかい?
    今宵のターゲットは君のハート。

    ふん。
    名誉なことだね。


    とりあえず守ってやるよ。
    仕事だからね。

    さっぱり自信ないけどさ。
     

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  • 尋 問

    2012/05/26

    愉快な話

    「おまえは事件当日、その時刻にどこにいた?」
    「首相官邸にいました」

    「ふざけるな!」
    「いいえ。ふざけてなんかいませんよ」

    「まあいい。で、なにをしていたんだ?」
    「総理大臣を暗殺してました」

    「嘘を吐くな!」
    「いいえ。本当ですよ」

    「まあいい。で、証拠はあるのか?」
    「刺したナイフに俺の指紋が残ってるはずです」

    「ふん。そんなものは証拠にならん」
    「どうしてですか?」

    「おまえの指紋がついたナイフに過ぎない」
    「しかし・・・・・・」

    「手袋をした別人が刺したんだろうよ」
    「そんな馬鹿な」

    「残念だったな。じつは目撃者がいるんだ」
    「まさか!」

    「盗まれた被害者自身だ」
    「う、嘘だ!」

    「ところが本当だ。アリバイは崩れたな」
    「・・・・・・」

    「たしか、彼女とは同級生だったな」
    「・・・・・・そうです」

    「しかも、幼なじみだ」
    「・・・・・・ええ」

    「認めるんだな。下着泥棒を」
    「・・・・・・はい。すみません」

    「よし」

    「ああ。彼女にだけは知られたくなかった」
     

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  • 愚痴聞き屋

    2012/05/24

    愉快な話

    えー、皆さま。
    大変お騒がせいたします。

    こちらは毎度お馴染み 
    愚痴聞き屋でございます。


    どうにもこうにも 
    やり場のない愚痴はありませんか。


    誰も聞いてくれない愚痴 
    聞くに堪えない愚痴 

    耳にタコの愚痴 
    よく聞き取れない愚痴 

    どんな愚痴でも結構です。


    量の多少、質の高低 
    態度の大小に係わらず 

    しっかりお聞きいたします。


    逃げません。
    耳栓は使いません。

    寝たフリもしません。
    怒って喧嘩することもありません。


    ただただひたすら頭を垂れ 
    じっと耐え忍んで拝聴いたします。


    どこかにどなたか 
    ご迷惑な愚痴はありませんか。

    どんな愚痴でも構いません。

    この宣伝がうるさい 
    という愚痴でも結構です。

    どうぞ遠慮せず 
    お申し付けください。


    わだかまりのある愚痴 
    声に出せない愚痴 

    しょうもない愚痴 
    グチグチうるさい愚痴 

    いかなる愚痴でも 
    格安にて承ります。


    遠慮せず、我慢せず 
    正々堂々と愚痴ってください。

    大声で愚痴れば 
    心身ともにすっきりいたします。

    どうぞ怒鳴って 
    呼び止めてください。


    えー、皆さま。
    大変お騒がせいたします。

    こちらは毎度お馴染み 
    愚痴聞き屋でございます。
     

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    • Tome館長

      2014/12/07 16:56

      「さとる文庫 2号館」もぐらさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/06/02 10:06

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • お参りの帰り

    2012/04/30

    愉快な話

    近所の稲荷神社に参拝後、迷子になり、
    家に帰れなくなってしまった。

    (ははあ。ひょっとすると
     こいつは狐に化かされたかな)


    神社参拝の作法というものがある。


    鳥居をくぐる時は礼をする。
    手水で手と口を清める。

    神殿の真正面に立つのは失礼。
    左右どちらか一歩横へ。

    お賽銭を賽銭箱に入れる。
    鈴を鳴らして合図を送る。

    深く二礼、胸の高さで二拍手。
    祈願、深く一礼。

    しばらく境内に佇む。
    鳥居から出る時にも一礼。


    これらすべて知っていたが、
    今夜は、あえて悉く無視したのだ。


    まず、鳥居で立小便。

    手水舎に唾を吐き、
    神殿の真正面から賽銭泥棒。

    鈴の緒、引き千切り、
    ニゲップ、ニ放屁。

    悪態ついて、アッカンベー。

    そのまま鳥居を蹴飛ばして退散したのだ。


    遊び仲間と一緒だったから
    つい見栄を張ってしまったのだな、これが。


    (しかし、まいったな)

    さっきから、どうも神社の周りを
    ぐるぐる回っているような気がする。

    それに仲間の顔が、どいつもこいつも
    狐そっくりに見える。

    「コン、コン」

    咳をする奴までいる。


    そういえば、なんだか無性に
    油揚げが喰いたくなってきたぞ。

    「コーン」
     

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  • トントコトン

    2012/04/24

    愉快な話

    トントコトンが歩いていたら
    途中でトコトントンに出会ったよ。

    「やあ。トントコトン」
    「元気かい。トコトントン」

    一緒にトントコ、トントン、トコトントン。
    仲良くトコトコ、トントコトン。

    トコトコ、トコトコ、お馬が通る。
    トントン、トントン、ノックする。

    「トントコ、トントコ、どなたでしょ?」
    「トコトン、トコトン、私です」

    トーント、トトント、扉が開く。
    トトトン、トトトン、握手する。

    トトトト、トントン、料理して、
    トントト、トットー、食事する。

    「トトント、トコトン、さようなら」
    「トーント、トントコ、またあした」
     

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  • ニャー

    2012/04/16

    愉快な話

    ねえ、君。
    ご存じかな?

    「ニャー」という名の鍵盤楽器を。


    見た目、ほとんどアップライト・ピアノ。

    もっとも、アップライトの中古ピアノを改造したのだから
    当然と言えば当然だけどね。

    つまり、僕が作ったんだ。
    「ニャー」の命名も僕。


    じつは、こいつなんだ。
    これが実物の「ニャー」なのさ。

    この「ニャー」を演奏するためには
    それなりに、なかなか準備が大変なんだよ。


    まず最初に、上蓋を開き、
    所定の位置に生きた猫をセットする。

    元気な猫ほど望ましい。
    薬で眠らせたり、死んだ猫ではいけない。


    そっと見てごらん、君。

    うちのタマさ。
    しっかり固定されてるだろ?


    そりゃ、大変だったよ。

    ほらね。
    両手とも、傷だらけさ。

    まあ、なんと言うか、仕方ないよね。


    それはともかくとして、
    あとは普通に演奏するだけさ。

    さて、いいかい。
    キーを叩いてみるよ。

    とりあえず、ドレミファソラシドね。


    ♪ ニャーニャーニャーニャーニャーニャーニャーニャー ♪


    どうだい?
    なかなか素敵だろ。

    よし。
    次は「猫踏んじゃった」ね。


    ♪ ニャニャ ニャンニャン ニャー
     ニャニャ ニャンニャン ニャー

     ニャニャ ニャンニャー ニャンニャー
     ニャンニャン ニャー ・・・・・・・ ♪
     

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  • ヴァイオリン

    2012/04/02

    愉快な話

    わたくしは縄梯子を伝い、
    二階のベランダから忍び込みました。

    お嬢様は大変驚かれたようでありました。

    「わたくしのことは気にせず、演奏を続けてくれたまえ」

    そう伝えましても、お嬢様は驚かれ続けているご様子で
    上品な口を心持ち下品に開いたままでいらっしゃいました。

    「ああ、お嬢様。まことに申し訳ありません。

     あまりに素敵なヴァイオリンの音色に心動かされまして
     つい出来心から忍び込んでしまった次第です」

    わたくしの悪気なさそうな笑顔によるものかどうか、

    お嬢様はどうにかこうにか
    演奏を再開してくださったのでした。

    ちょっとぎこちない演奏になってしまったのは
    このような状況ですから仕方ありますまい。

    わたくしはヴァイオリンの音色に合わせまして
    ゆっくり首や腕を振りました。

    すると、いくらか音色が滑らかになったようです。

    そこで、わたくしはベランダに干してあった下着を外して
    ポケットに押し込むと、

    縄梯子を伝って裏庭に降り立ち、
    風のようにさっそうと逃走したのでありました。
     

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  • 吹雪の夜に

    2012/03/17

    愉快な話

    寒い冬の夜。
    窓の外は吹雪。

    でも、家の中は炬燵にストーブ、
    春のように暖かい。

    しみじみと幸せを感じていた。

    すると突然、家の屋根が吹っ飛んだ。
    どっと闇と雪と暴風に襲われた。

    照明器具もなにもかも天井ごと持っていかれた。

    呆気にとられた。
    屋根を盗られた。
    しくじった。

    幸せどころか、不幸の天井知らずだ。

    ところが突然、家の上に屋根が落ちてきた。

    それは他人の家の屋根だった。
    やはり吹き飛ばされてきたのだろう。

    ご近所の長谷川さんとこの屋根かもしれない。

    我が家の間取りにぴったりとは合わないが
    それでもいくらか吹雪がしのげる。

    やれやれ。
    ありがたいことだ。
     

    Comment (2)

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    • Tome館長

      2013/03/12 18:59

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2012/12/09 17:15

      「さとる文庫 2号館」もぐらさんが朗読してくださいました!

  • 転がる想い

    2012/03/13

    愉快な話

    なにがなんだかわけがわかんなくなって
    僕は背を丸めて考え込んでしまって

    足とひざを抱えたら
    ますます丸くなってしまって

    そのうち僕は
    まん丸なボールになっていて

    たまたま坂道にいたものだから
    そのまま坂道を転がり始めてしまって

    ボールだから
    ときどき跳ねたりして

    それはそれで
    ちょっと楽しかったりしたのだけれど

    なかなか止まらなくて

    このまま転がり落ちたら
    どんどん下へ下へと行ってしまうから

    上まで戻るのが大変な気がするのだけれど

    そんなこと考えなければ
    これはこれで悪くもなくて

    そりゃまあ
    良くもないけど

    そろそろ平らになってきたみたいだし

    あっ
    クルマにひかれそう
     

    Comment (3)

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    • Tome館長

      2015/06/16 09:23

      「さとる文庫 2号館」もぐらさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2013/03/10 13:17

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2012/03/21 15:52

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

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