1万8000人の登録クリエイターからお気に入りの作家を検索することができます。
2014/06/30
おぼろげな
水晶玉の霧の奥
あなたの泣き顔
浮かびます
いくら未来を
映しても
凍りついた
あなたの心
とかさなくては
変われない
2014/06/25
いくつもの思い出
切り抜いて
喜び 哀しみ 切なさ
混ぜ合わせ
ひとり作る
真夜中の パッチワーク
真ん中には
とびっきりの君の笑顔を貼り付け
その横には
僕の失恋の張り裂けそうな痛み
そして
反対側には
ふたりの出会いのシーン
あんなことや こんなこと
忘れたいこと 忘れたくないこと
数え切れない 色鮮やかな
端切れの数々・・・・
君は今 どこにいますか?
僕は今 ここにいます
ここで こうして
こうやって
あの頃も 今も
これからも
君を想っています
2014/06/20
土を掘り 種を植え
水をやり 雑草を抜き
やがて芽が出て
葉をつけて
ついに
いくつか花が咲いた。
けれど
もはや根は拡がらず
ささやかな夢は
ついに実ることなく
うなだれ しぼみ 力尽き
ひっそり
ひっそりと
枯れてしまった。
なのに
その苦いはずの記憶は
なぜか
懐かしい思い出として
今 ここにある。
2014/06/15
高校の卒業式は
受験のため
出席できなかった。
思い出の絵巻の中に
そこだけ
ポッカリ穴があいている。
それだから私には
高校を卒業した実感がない。
届けてもらった卒業証書も
いつの間にか
なくしてしまった。
2014/06/11
ねんねこ 眠れや
ねんねこ にゃん
猫の子 眠らにゃ
爪を 研ぐ
それでも 眠らにゃ
牙を むく
ねんねこ 眠れや
ねんごろ にゃん
2014/06/09
みなさん、こんにちは。
よい天気ですね。
本日は、これから
ナメクジとカタツムリが競走するそうですよ。
さっそく、スタート!
でも、どうしたのでしょう。
スタート合図の銃声を聞き逃したのでしょうか。
いつまで経っても、どちらも動く気配がありません。
あっ。
少しカタツムリが前に進みました。
あっ。
ナメクジも少し進んでます。
よかったですね。
一時はどうなることかと心配しましたよ。
ようやく両者、スタートラインを越えました。
さて、長引きそうですね。
では、ここでお昼にしますか。
すみません。
つい昼寝もしてしまいました。
でも、あんまり変わってないですね。
少しばかり、カタツムリがリードしてますか。
でも、あの重い家を一緒に運んでますから
おそらく後半はきついでしょうね。
観戦している我々もきついです。
ああ、そろそろ日が暮れます。
長い一日でしたね。
では、また明日。
おやすみなさい。
おはようございます。
おや。
あんまり進んでないですね。
一晩中、なにやってたんでしょう。
眠っていたんでしょうか。
先は長いですね。
また明日来ますね。
おやおや。
まだこんなところにいるのですか。
余裕ですね。
自信でしょうか。
いくらかナメクジが挽回しましたか。
では、またそのうち。
みなさん、しばらくぶりです。
あやうく忘れてしまうところでした。
なんですか、これは?
ははあ。
ナメクジのミイラですか。
なるほど。
長い間、日当たりにいましたからね。
カタツムリも家の中に閉じこもってますね。
流行のヒキコモリですか。
それとも餓死したのでしょうか。
ちょっと確認できません。
やれやれ。
どうにもなりませんね。
2014/06/06
「あなたのため」
で始まって
「あなたのせい」
で終わった恋は
本当に
「あなたのため」
であったのか?
本当に
「あなたのせい」
であったのか?
「わたしのため」
ではなかったか?
「わたしのせい」
ではなかったか?
2014/06/05
なべて死は 遠く近く
忌み嫌えど 寄り添い
望むれど 突き放す
蜻蛉の数刻
屋久杉の数千年
夢幻の如く ゆらめいて
残雪の如く 消え失せぬ
2014/06/03
細長い昆布みたいな海草が
五本ほど
横方向に流れていて
そこに
タイやヒラメ
タツノオトシゴやハリセンボン
なんやかんやが
泳いでいて
なんだか不思議な調べを
水底の楽園で
ゆらりゆらりろ
奏でているのです。
2014/06/01
それは
小鳥のさえずりだったり
若草を踏む靴音だったり
子どもの笑い声
年寄りの溜め息
または
日差しの擬態語
「サンサン」 とか
同じく陽気の
「ポカポカ」 とか
そんなの