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2015/05/30
2015/05/23
ここはエジプト、王家の墓。
額に汗しながら作業していたら
ミイラのファラオが甦えってしまった。
「アゲメデ、ホムルンスク、トピタ」
ひどくかすれた声でなにやら喋るのだが
なにしろ古代語なので、さっぱり意味がわからない。
「あんた、内臓ないくせに、なぜ生き返るか?」
気持ちだけでも伝わるか、と尋ねてみたら
「ヌクルデ、パピパピ、ルステホメ」
どうも伝わらなかったようだ。
「パトラクレオ、テーベストラ、カピオカ」
あんまりうるさいので
「我が仕事さまたげし者、死の翼触れるべし」
冗談のつもりで言ってみたら
「カーメン」
みるみる崩れて砂になってしまった。
信じられなかった。
ちなみに、おれの仕事は盗掘、
墓あらしである。
2015/05/21
2015/05/19
我ら諸人
大いなる樹の
下に侍りて
その枝葉より
垂るるしずくを
受くる者なり
渇すれど
揺すりたもうな
樹が枯れる
2015/05/15
いやなことは
明日に持ち越さず
今日のうちに
片付けた方がいい。
放っておいたら
埃のように
いくらでもいやなことは
溜まってしまうから。
いやなことをひとつ
片付ければ
少なくともいやなことが
ひとつ減る。
その分いくらか
気楽に眠れる
というもの。
それから
できれば今日中ではなく
今すぐやる方がいい。
そうすれば
そのいやなことが
たった今なくなる。
2015/05/11
マリンバ カリンバ
鎖骨が折れた
喰う寝る髑髏に 棲む髑髏
肋骨叩けば 仙骨笑う
上腕骨に肩甲骨
大腿骨に尾骶骨
さてもさて
足の指で バチ持たば
骨が鳴ります 股関節
祇園精舎の 鐘の音
諸行無常も ほどほどに
沙羅双樹の 鼻の骨
折れる音も コツ コツ コツ
2015/05/09
2015/05/06
夜霧に包まれ
眠りたきこと
湿り気を帯び
うなじも わきも
ぬるらら ぬらら
蛞蝓 足首を這い
粘菌 全身を覆い
髪 水草となり
魂 水面に浮かぶ
ゆるらら ゆらら
ただあてもなく
漂うばかりの
水母に
なりたや
2015/05/04