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2014/03/31
消しゴムでは
消えません
修正ペンでも
消えません
紙を貼っても
削ってみても
なにをしたって
消せません
消したふりしたって
消えてません
なかったことにしようとしても
ちゃんと残っているのです
あなたが書いて
あなたが刻んで
あなたが残した
わたしのノートと
わたしの傷と
このわたし
2014/03/28
ある音が鳴った
ということは
すなわち
別の音が鳴らなかった
ということ。
鳴った音は
それなりに美しかったかもしれない。
けれど
鳴らなかった別の音は
もっと美しくはなかったか?
いや、違う。
どんな音も
鳴らなかったのかもしれない。
音が鳴らなかったとすれば
そこには
沈黙しかない。
だが、しかし
鳴らなかった音
沈黙は
その鳴った音より
はるかに美しくはなかったか?
2014/03/25
どんなに頑張っても
どんなに無理をしても
どうしても辿り着けない
そんな場所がある
どんなに泣いても
どんなに叫んでも
どうしても叶わない
そんな願いもある
それでも行くのか
それでも望むのか
辿り着いて落胆し
叶って失望するかも
知れぬのに
2014/03/21
早くおいでと
呼ぶからに
早く行ったば
早すぎた
だあれもいない
なにもない
まあるい月さえ
ありませぬ
ここはどなたの
あそび場じゃ
鬼や天狗の
あそび場じゃ
ホーイ ホイ
2014/03/19
楽しかったことや
苦しかったこと
悲しかったことや
嬉しかったこと
悔しかったことや
切なかったこと
どうにもならなかったことや
なんにもならなかったこと
あれも これも
それも どれも
みんな
みんな
過ぎたこと
とうの昔に
過ぎてしまった こと
2014/03/17
夏の暑さに苛立つのではなく
夏の暑さに負ける自分に苛立つ
冬の寒さに苛立つのではなく
冬の寒さに負ける自分に苛立つ
なぜそんなに簡単に負けるのか
なぜ反撃せずに土俵を割るのか
もっと暑い国の人だっているのに
もっと寒い国の人だっているのに
どうしてこんなに自分は
弱いんだろう
どうしてこんなに自分は
もろいんだろう
2014/03/12
それぞれの声は
それぞれ違うけど
それぞれの声が集まってできる
みんなの声は
なんだか どれも
似ているような気がする。
結局
そういうところに落ち着いちゃうんだ。
なんだかとっても
さみしいな。
2014/03/10
家の中に
雨が降っている
部屋の窓から見える空は
あんなに青いのに
しかも今日は
せっかくの休日なのに
どうしてふざけてるみたいに
傘を差さなくちゃならないのか
そこのところが
私にはよくわからない
これじゃ昼寝もできやしない
畳も布団も
びしょ濡れだ
私の心の中は
こんなに乾いているのに
2014/03/04
対岸が遠いわけではなく
流れが激しいわけでもない。
それなのに
渡れない川がある。
対岸を眺むれば
美しい花が咲いている。
誘うように川面は
キラキラ優しく輝いている。
それなのに
その川は渡れない。
少なくとも
今の私には渡れない。
今の私には
まだ渡る資格がない。
2014/03/01
辺鄙なところにあるため
けっして朝の訪れることのない村があって
そこでは
鶏も時を告げない。
そのため
突然のように昼が始まり
不意打ちのように昼が終わる。
あとはただ
眠るしかすることのない
漆黒の闇の夜があるばかりである。