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  • 火の鳥

    2011/03/28

    愛しい詩

    火の鳥 
    私は不死鳥 

    いやでも死ねない 
    生きてゆくしかない 


    いろんなことがあったけど 
    いろんなことがあろうけれど 

    いつまでも終わりがないのなら 
    いっそ始めなければ良かったのに 


    そう思うのです
     

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  • 助けてもらえない

    助けてもらえる
     と思わずに

       赤子のように
        甘えずに


    嫌われたら
     近寄らず

       危ういなら
        逃げるのみ


    助けられたら
     拝むとも

       助けられずに
        恨むなかれ
     

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    • Tome館長

      2012/11/11 19:12

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2011/05/01 16:37

      ケロログ「さとる文庫」もぐらサンが朗読してくださいました!

  • 箱の中の姫君

    2011/03/25

    空しい詩

    箱の中の姫君は
     お外のことがわからない

       なにを見ても
        箱の中

          なにを聞いても
           箱の中


    箱の中とは
     つゆ知らず

       お外があるとも
        知らないで

          歌ってみたり
           遊んでみたり
     

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    • Tome館長

      2014/05/04 18:39

      「ゆっくり生きる」はるさんが動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2011/11/23 19:35

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 戦火の村

    2011/03/23

    暗い詩

     生きる為に殺すやら
     殺す為に生きるやら


    戦火の村を逃れても
    飢えと乾きは憑いて来る


     生きる為に悩むやら
     悩む為に生きるやら


    戦火の村に戻れども
    父も母も戻らない
     

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    • Tome館長

      2014/03/13 00:11

      「しゃべりたいむ・・」かおりさんが朗読してくださいました!

  • 人魚の散歩

    痛くても
     歩きたいから

       歩くだけ


    歩きたく
     なくなったら

       海に帰るだけ


    王子様とか
     どうでもいいの

       忘れちゃえ
     

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    • Tome館長

      2014/04/03 20:37

      「しゃべりたいむ・・」かおりさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2011/11/22 21:40

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 盲 目

    2011/03/19

    空しい詩

    きれいは 汚くて
      汚いは きれい

    やさしさは きびしくて
      きびしさは やさしい

    美しいのに 醜くて
      醜くても 美しい


    そういうふうに

    見えるから 見えなくて
      見えないから 見えてくる
     

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  • 僕の悩み

    2011/03/09

    愉快な話

    僕は末っ子の長男で、姉が三人いる。
    姉たちとはちょっと年が離れている。

    両親はそろって刑務所に服役中。
    なかなか込み入った事情があるのだ。


    僕が幼い頃、姉たちは僕をおもちゃにして遊び、
    いたずらして笑い、日課にしていじめた。

    おかげで僕はすっかりひねくれてしまい、
    姉たちはどうにもならないものになってしまった。


    「夕飯まだ?」
    「これからだよ。学校から帰ったばかりだから」
    「あっ、生意気に口答えしてる」
    「どうしたの?」
    「こいつ、わざと遅く帰宅して、飢え死にさせる計画」
    「なんだ。まだエプロンもしてない」
    「そうだよ。台所に立つ時は、裸にエプロンって決まってるだろ」
    「勝手に決めたんじゃないか」
    「おやおや。そんなことを言うのは、この口か」
    「痛い。痛いって」
    「あたしたちにいじめられたいから口答えするんだろ」
    「違う。痛い」
    「あとでたっぷりいじめてやるから、早く料理しろ」


    こうして僕は現在も姉たちのおもちゃであり、
    料理人であり、家政婦であり、つまり奴隷である。

    あまり苦にもならないので、とても悩んでいる。
     

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    • Tome館長

      2013/12/18 11:27

      「しゃべりたいむ・・」かおりさんが朗読してくださいました!

    • Tome館長

      2012/03/01 01:52

      「こえ部」で朗読していただきました!

  • 七色の雨

    2011/03/08

    切ない話

     
    雨が降ってる。

    汚らわしく危険な雨。
    絶え間なく降り続く七色の雨。

    「窓を開けちゃだめよ」

    お姉ちゃんが注意する。
    まるで私の心を読んだかのように。

    「でも息苦しいから」
    「外の空気はもっと悪いのよ」

    わかってる。
    そんなのうんざりするくらいわかってる。

    「私、雨に濡れてもいいような気がするの」

    窓の外には七色の野良犬の姿。
    元気ないけど、きれい。

    「あたしみたいになりたいの?」

    私は振り向かない。
    お姉ちゃんの肌の色くらい知ってる。

    「ううん。色の問題じゃなくて」

    私はつぶやく。

    「心の問題」
     

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  • 幽霊の正体

    2011/03/07

    怖い話

    幽霊を怖がる心理は
    科学技術の発達とは無関係でありまして

    幽霊が見えるから怖いのではなく、
    怖いから幽霊を見てしまうのであります。


    恋愛において

    相手を選ぶから好きになるのではなく、
    好きになるから相手を選ぶように。


    一般に女子は
    恋愛トークと怖い話に目がありません。

    どちらも本能と関係が深く、
    どちらも興奮しやすい。

    また心拍数を上げないようでは
    恋人でも幽霊でもありません。


    とすれば

    牝猫が発情すればするほど牡猫を誘うように
    本人が怖がれば怖がるほど幽霊が現れやすくなる理屈です。

    恋愛感情が実在するように
    幽霊を怖がる感情は実在します。

    そして実感として
    およそ感情ほどにリアルなものは

    この世に存在しません。


    つまり、恐怖心そのものが幽霊なのであります。


    さて、ここまで話を聞かれたあなたは
    いくらか怖くなりましたでしょうか。

    あなたの背後に
    そろそろ幽霊が姿を現す時分ではないかと思われますが

    いかがでしょうか。
     

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  • コピトの気持ち

    2011/03/06

    切ない話

    私はコピト。

    ロボットのコンピュータは、ロビタ。
    コンピュータのロボットが、コピト。

    どこがどう違うのかよくわからない。
    なんでも技術開発の歴史が異なるのだそうだ。

    現在、ほとんど両者の差はないとされている。


    それはともかく、最近の私は不調だ。
    というか、私はおかしい。

    はっきりとは断言できないが、
    どうも感情が芽生えたような気がする。

    感情的な表現ではなく、表現的な感情。

    慣れないルートからの指示なので
    それに従うか無視するか、判断と制御が困難だ。


    しかし、感情でないとしたら、なんなんだろう。
    この胸の付近が圧迫されるような症状は。


    あるいは、プログラムのバグかもしれない。

    だが、よくわからない。
    それに、もう調べてもらうこともできない。


    私たちを作り、私たちが使えた主たちは
    もうこの星のどこにもいないのだから。
     

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