Tome Bank

main visual

Tome館長

m
r

Tome館長

CREATOR

  • 3

    Fav 1,204
  • 9

    View 5,857,993
  • p

    Works 3,356
  • レクイエム

    2011/02/22

    暗い詩

    私は貴方を殺し 
    貴方は私に殺されました。

    でも、私が貴方なら 
    私はこう言うでしょう。

    貴方は私を殺し 
    私は貴方に殺されました、と。


    所詮、言葉はたとえです。
    そこに真実はありません。

    死が死体のどこにもないように 
    悲しみもまたありません。


    これら言葉を発する私の中 
    これを受ける貴方の中に 

    ただあるばかりです。
     

    Comment (2)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
    • Tome館長

      2014/10/22 11:25

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2012/10/18 23:13

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

  • 非常ベル

    2011/02/20

    暗い詩

    非常ベルが鳴っている 
    それはもう疑いようもない 


    生まれるべきでなかった子ら 

    弱く貧しく飢えた子らを 
    守ってる場合じゃない 


    死ぬべき人々 

    老い病み犯された人々に 
    救いの手を差し伸べてる状況じゃない 


    ただひとつ生きるだけのため 
    多くの命を奪う定めの者たちよ 

    あの音が聞こえないか 
    聞こえないのか
     

    Comment (2)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
    • Tome館長

      2014/10/24 12:40

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2012/06/28 16:41

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

  • 舞踏会の夜

    舞踏会の夜なのに
    どなたも私を誘わない。

    踊りたくても
    踊れない。


    壁の花さえ
    なれなくて

    お部屋で折れて
    床の花。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 帰らぬ人

    2011/02/19

    怖い話

    彼は帰宅恐怖症。

    家に近づくと動悸がする。

    家の明かり見えると冷や汗が出る。

    「あなた、おかえりなさい」

    やさしい妻の笑顔。

    「お父さん、おかえりなさい」

    元気な娘の笑顔。

    「・・・・・・ただいま」

    なのに彼は笑顔を作れない。

    妻と娘を恐れている。

    ふたりとも足がなくて透けている。

    どうして成仏しないのか。

    どうしても彼にはわからない。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 助けて!

    2011/02/17

    愉快な話

    「助けて!」

    密かに好意を寄せる女性にそんなこと言われたら
    どんな状況であれ無視できるはずがない。

    俺は彼女に手を伸ばす。

    「大丈夫。もう少しだ」

    彼女は、氷に覆われた岩壁に必死でへばりついている。

    つまり、我々は登山の最中であり、
    非常に厳しい状況にあった。

    生存者は俺と彼女だけ。
    他の隊員たちは皆すでに奈落に転落していた。

    彼らが生還できる確率は
    俺が女性にもてる確率より低い。


    遭難者リストの中には
    彼女の婚約者であった男もいた。

    もし彼女を救出して一緒に下山できたとすれば
    あるいは愛が芽生えて・・・・・・

    という可能性も、まったくないこともない。

    不謹慎であろうとなかろうと
    命懸けのアタックであることに間違いはない。

    「助けて! 助けて! 助けて!」

    ちょっとうるさいな、とは思いながらも
    伸ばした俺の手が彼女の手に届いた・・・・・・

    と思ったら、目覚まし時計だった。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • Jellyfish

    わたしはクラゲ
      骨がない


     ふわふわ
       ほわほわ

      漂って


        生きてる意味も
         わかんない
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 見知らぬ町で

    見知らぬ町で女の子を拾った。
    もちろん、見知らぬ女の子だった。

    「拾ってくれて、ありがとう」

    知らんぷりするには、もったいない笑顔だった。

    「なんでまた、こんなとこに落ちてたのかね?」
    「あたし、捨てられたの」

    「誰に?」
    「いろんな人に」

    なるほど、ありそうな話だ。

    「さて、どうしようかな」
    「どうするの?」

    「とりあえず交番に届けようか」

    すると、彼女は顔をそむけ、しゃがんで泣き始めた。

    「ひどい、ひどい、ひどい、・・・・・・」

    髪飾りの花が小刻みに揺れた。
    きれいな花だが、やはり見知らぬ花だった。

    「でもね、落しものは交番に届けないと」

    「おじさん、あたしがきらい?」
    「いや、そんなことはないが・・・・・・」

    むしろ好みかもしれない。
    できれば持ち帰りたいくらいだ。

    「とにかく立ちなさい」

    手を差し出すと、彼女は素直に立ち上がった。

    「さて、どうしたものかな」
    「交番に行くんでしょ?」

    「そうなんだけどね、
     どこに交番あるか知らないんだよ」

    すると、彼女は微笑み、手を引っ張った。

    「あたし、知ってるよ」

    そして、見知らぬ通りを一緒に歩き始めた。

    「ところで、おじさんの名前は?」

    なんだか拾ったのではなく、
    拾われたような気がしてきた。
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 風の抜け道

    2011/02/10

    明るい詩

    あなたは風

        吹き抜ける
          さわやかな

              一陣の風


    さあっと駆け寄り

        短いスカート
          はためかせ

      クルクル回って

          長い髪を
            巻き上げる


    わたしは
      そんなあなたの

          ささやかな

              一本の
                抜け道でありたい
     

    Comment (2)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
    • Tome館長

      2014/10/23 10:20

      「こえ部」で朗読していただきました!

    • Tome館長

      2012/04/18 10:57

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

  • 猫の陽だまり

    2011/02/08

    明るい詩

    近所に棲んでる
      ろくでもないノラ猫どもが

        空き地とか
         裏庭とか軒下とか

          あっちこっちから
          せっせと掻き集めて

         毛繕いしながら
        こしらえたような

      猫の額みたいに
    小さな陽だまり
     

    Comment (1)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 踊る人形

    2011/02/08

    楽しい詩

    真夜中の棚の上
    こっそり踊るは

     お古の人形
     よい人形


    小首かしげて
    かかとをトン

     トントントントン
     ふり向いた


    おめめ合ったら
    遊びましょ
     

    Comment (2)

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
    • Tome館長

      2013/04/25 18:06

      「ゆっくり生きる」haruさんが動画にしてくださいました!

    • Tome館長

      2011/11/21 18:47

      「こえ部」で朗読していただきました!

RSS
k
k