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2011/03/09
花火の「間」が作り出す美しさ、それこそが、日本文化の特質である。
次々と打ち上げられる花火。大勢の人込みの中で感じる溜息と歓声に囲まれて、真暗な夜空を見上げ、我々はそれを鑑賞する。
花火は暗い夜空をキャンバスとし、明るく空を彩る花火とのコントラストによって美しさが成立している。しかし、我々は花火が空に打ち上がらない「間」も同時に鑑賞し、その美しさをよりいっそう際立たせているのだ。
次に打ち上げられる花火を期待しているその瞬間、そこに満ちる静寂のリズムは絶妙な間合いで設定され、「期待と余韻の間」「光と歓声の彩り」がリズミカルに連鎖することにより、打ち上がった花火は、なお一層美しいものに彩られるのである。
そして全ての花火が打ち上げられた時、凛と張りつめる空気が「余韻の間」となって夜空にたなびき、花火大会は美しいままで「終わり」の時を迎えることになるのだ。