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2011/03/09
神田神保町。久しぶりに、大通りを外れて裏路地に入ってみた。大通りの喧噪を外れた止まったような空気の中で、いつもあるはずのものがなかった。
喫茶店R。常に私の中で「神保町」の一部を成す、なくてはならない存在。胸騒ぎ。走りたいような気持ち。閉まったガラス戸。その向こうにはもう誰もいない。
数年前から、再開発が進んでいる地域である。事実、なくなってしまった店鋪も多数あり、代わりに新しい店舗が入っている。
しかし、それはあの街には相応しいものではない。新しい店舗のほとんどは、大資本によって店舗数を拡大する大手企業の支店だ。そんな店舗なら、どこにあっても同じだ。別に、神保町になくてはならないものではない。
どこにでもある置き換え可能なものが、どんどん置き換え不可能なものを食い潰している。私の知っている神保町は、もう、記憶の中にしかなくなってしまった。