増駄堂

イラストレーター

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  • 『恵み』 MEGUMI

    十数年前、知り合いの女性に描いてあげた作品。

    結構気に入っているので、
    自分の手元にも一枚置いときたいんだけど、
    時が経ち、
    日が過ぎると、
    同じ作者が同じ作品を描いても何かちょっと変と言うか、
    ニュアンスが違う。。。。

    描こうと思えば、
    似た色合いの絵を描くことも出来るんだけど、

    最初に色を乗せた時の緊張感みたいなものが、
    描き直した作品にはない。


    絵描きが煮詰まってくるとまず何をするかと言えば、
    他人の真似でなく、
    かつての自分の真似であり、
    いわゆる【リメーク】と言う名の逃避だったりする。

    イラストはその時にしか描けないものを素直に描くのが一番なんですが、
    毎日量産を強いられている人気作家の人たちは、
    そんなことも言ってられないんでしょうな。
     
    大変なこってす。ふむふむ。。。。。

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  • 『7日目の宿罪』 Original sin of the 7th day

    これは三十代前半の悶々としていた頃に描いた作品です。
    この当時、何を考えてこういうものを描いたのかは、
    今となっては不明ですが、
    あと十年経ったら、
    今の自分が描いたものを見て、

    「何考えてたんだろう」って思うに違いありません。

    この手のイラストは、
    心に湧き上ってきたモノをすくっては紙に描き移すだけの作業であり、
    正直言って、よく考えずに鉛筆を動かしています。

    高尚なテーマもなく、
    いたって思いつくまま気が向くままに描き殴るだけ、

    実はこれが一番難しいんですが、
    見る人には関係ない話しですよね。

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  • 『 月夜の晩に』 In the evening of the moonlight

    羽を散らしたイラストを描いてみたくて、
    描いていたらこんな風になりました。

    ペン画の場合、
    手前のものから描かなくてはならないので、
    物を散らした作品はとても手間がかかります。

    背景のぼやんとしたお月様なんかも、
    パソコンソフトを使ったら容易く出来るわけですが、

    増駄堂的にはこういう部分にこそ手描きに拘りたいわけです。



    本日、午前11時過ぎ、
    噂の皆既日食だったわけですが、
    先日からのニュースで度々、
    当日の天候不良がささやかれ、

    ご当地も他聞にもれず朝からどんよりとした曇天日和^^

    「世紀の大イベントもオテント様には敵うまい」

    そう思いつつ、
    時間になって、
    雲に覆われた空を見てみれば、
    厚い雲の向こうに、
    薄ぼんやりと太陽が、、、、、


    げっ!!!

    どうせ晴れても皆既日食観測グッズを持ってないから、
    じかに見ることは敵わぬと諦めていたら、

    なんと皮肉にも、
    厚い雲がフィルターの役割をし、

    肉眼で欠けたお天道様がよく見えること、見えること。


    あまりにもよく見えたので、
    必要以上に肉眼で太陽を見つめ過ぎた為に、

    あれから三時間たった今でも目がチカチカしています。


    今日の皆既日食にふさわしいイラストはないかと、
    パソコンのデータを探して見つかったのがこのイラストです。

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  • 『よるのひと』 Person at night

    イラストを描く際、
    全版の紙を購入して、
    その都度、必要なサイズに切って使用します。

    僕の愛用の紙は、
    とても高級な品物なので出来るだけ無駄を出さないよう努力するのですが、
    どうしても中途半端なサイズの紙が余ってしまいます。

    捨てるのはもったいないが、
    作品に仕上げるにはとうしても小さすぎて後処理に困ってしまう。

    だから悪戯描き程度に、
    肩に力を入れず描いてみると、
    これがなんていうか、

    その、あの、なんと、、、
    力んでいない分だけ自分の本音が絵に【宿る】と言いますか、、、、


    僕の作風は見たものをそのまま描き写すタイプではなく、
    頭の中でモヤモヤって沸いてきた【なんか】をそっとすくい取って、
    それを今の自分の持っているテクニックの範囲で描くという、

    まあ、
    そういうスタイルなんで、
    その素材になる【漠然としたイメージ】が思い浮かばないとどうしようもありません。

    アイデアまたはイメージは考えれば出てくるものではなく、
    ある日、ある時、突然、
    ぱっと浮かんできたりするんで、

    いつも心をニュートラルにしておかなくては、
    せっかくのイメージを捨ててしまいかねません。


    そういう時に、
    こういう【端切れ】があると、
    案外素直な物が描けたりします。

    今回の作品は僕的にはとても素直なイラストなんですが、
    見てくれる人にはまったく関係ない話で、

    けっきょく作品ってのは、
    作者がどう思おうと、、、、(以下省略)

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  • 『朽ちた時』 When rotting

    最初、右の絵を描いてから、
    「なんか違うな」って思っちゃって、
    その紙の裏に左側のイラストを描き直しました。

    実のところ、
    作家的かつ高尚な意味合いで描き直したのではなく、
    単に紙を買う金が無かったので、
    一度描いたものの裏に同じものを描き直しただけなんですが。。。。。

    増駄堂の使っている紙は、
    おフランス製の高級紙でありまして、
    この紙がやたら高いんですわ。

    だから、金欠の時、
    イラストを描きたくなると、
    以前に描いたイラストの裏に別のものを描いたりします。

    僕の画風は水彩絵の具を極端に薄く塗り、
    何度も何度も色を重ね、
    作品を完成させるんですが、

    この技法は単に経済的な問題から始めたものであり、
    深い意味はありません。

    このくらい薄い色付けをすると、
    絵の具が一本、
    10年以上持つわけでして、
    なにもかも、これ、
    貧乏から始まったタッチなんです。

    しかし皮肉なことに、
    薄塗りに適した紙をいろいろ探しているうちに行き着いたのが、
    アルシュというフランス製の高級紙。

    新聞サイズの紙が一枚900〜1200円もしてしまい、

    そもそも絵の具代をケチって始めた薄塗りが、
    今では高くついてしまっているという、
    とんでもない矛盾をきたしている次第であります。

    子供のころ、
    チラシの裏に鉛筆で悪戯書きをしていたころが懐かしくもありますが、
    今はこの紙でないと描く気がしない。

    ペン先の引っかかり具合、

    筆を置いた時の絵の具の吸収の仕方、

    僕が求めている【にじみ】もこの紙でないと表現できない。


    まったくもって、
    贅沢になっちゃったものです。とほほ。。。

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  • 『ねぇ』 Purple clothes

    このイラストは描いている途中で、

    「なんか変だぞ。間違ってる」

    と、
    思いながらも塗り終えたものです。

    増駄堂的にはどう見ても失敗作なんですが、
    いつも持ち歩いている作品収納用のファイルへこの作品をしのばせ、
    いろいろな人に描き溜めたイラストを見てもらうと、
    必ずこのおねぇちゃんのイラストに手が止まり、

    「素敵^^」

    と、言われる始末。。。。


    僕は時々頭を抱えるのですが、
    僕の作品は作者(つまり僕)が失敗したと思っている作品ほど評判がよく、
    自信作に限ってあまり評価されず、
    それでも個人的には失敗作であろうがなんであろうが褒めてもらえるのは至極の幸せなんで、
    その場は笑顔で答えるものの、
    後になってどうも納得いかない。。。。

    作品とはえてして、
    作者と観客に考えのズレがよくあるものの、
    僕の場合はそのズレが激しく、
    描いている間、ちっとも面白くなかったものに限って、
    褒めちぎられは自己嫌悪に陥るという、、、、、


    ちなみにこの原画のサイズはハガキとほぼ同じ大きさです。

    イラストは案外と小さい作品に限って難しく、
    そもそもサイズがコンパクトだと【誤魔化し】が効かない。

    ほら、
    小さいサイズの絵って、
    見る側もまじまじと見るしかないんで、
    ほんのちょっとの線の揺らぎがダイレクトに相手にわかっちゃうわけです。

    その点大きな絵って、
    適当に描いてれば驚いてくれる人がいるので、
    楽っちゅえば楽なんです。。。。。

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