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2010/01/31
知人の弦さんが京都と東京で開催してらした『宮村弦 newworks 2010』を見てきました。
http://gen-m.jp/
自分が見に行ったのは東京の方の小展だったけど、時間があれば京都の方も見たかったなぁ(^_^)。
(ちなみに、今日の夕方は東京ミッドタウンの広場はやけに混んで、行列ができていた…。なんかイベントでもあったのかな?)
東京ミッドタウンの3FにあるSferaというお店の中での展示だったのですが、実は最初見たときは「ん?」となってしまいました。
WEBにあった情報から、「読める」ということは知っていたのですが、どう見ても「読めない」のです。
お店の雰囲気にはとても合っていて、前衛書の作品も見なれている自分ですので、デザイン的な質は申し分なく高いものの、どう見てみても、、、「読めない」。
配布冊子があると聞いていたのですが、それらしいものは無く、仕方ないので小額の買い物をしつつカウンターで店員さんに聞いてみたところ、説明がてらパンフも頂くことができました。
それで納得。
さすがは弦さん、といった印象を受けました(^_^)。
実はこれらの作品は、パンフとセットでなければ解読できないのです。
パンフに掲載されていたのは墨象風の点の形状ひとつひとつに対応する日本語の50音表。
日本語の文字を墨象の形状に再定義した、と考えると分かりやすいかもしれません。
なぜ今回に限って「デジタル複製によるプリント」を書道家の弦さんが使ったのか?という答えがここにあります。
直に紙に書いた場合、「まったく同じ形状の墨象」というのは書くことができないのです。
今回のような意図をもった展示作品を作るとき、デジタル複製というのはとても有効です。他には版画やシルクスクリーンを使う手もあるのでしょうが、手間を考えるとデジタル技術を使うのが一番でしょう。
点同士が重なっている部分は乗算で簡潔に合成されているのですが、今回の場合はそれがとても自然さを感じさせて良い効果を生み出しています。
(私がやってたら、多分差の絶対値あたりで引っくり返して不自然な作品になるところです)
まさにデジタル出力ならでは、といった書表現。
この手法はむしろ、我々デジタル書作家が先に思いついてやるべきことだったのかもしれませんね。明らかに盲点。やられた!というカンジです(^_^;)
新たな現代アートとしての「書」をしっかりと感じさせてくれる、素晴らしい作品でした。
今後の弦さんの作品と活動の展開も楽しみにしています!