恋愛脱出速度

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かなで

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  • #11

    2015/09/11

    散文

    どん底憂鬱なときにそばにいて欲しいのは明るい人とか励ましてくれる人ではなく一緒に鬱な気分に浸ってくれる人なんだけど、もうこの時点で人を巻き込んでるし、そのまま心中とかまでなりそうで、しかしそれはまた退廃的で良いかもしれない。
    「退廃的」という言葉はどこか淫靡で官能的ニュアンスを含んでいたり、心理的に内側へ閉じて膝を抱え込む色が強いものだと思っている。もちろん意味はそれだけではなく道徳的に不健全(身体精神問わず)なもの全般を指すので、僕の意見は「退廃的」という言葉の一部を切り取った形になるのだけど。
    そしてデカダンスという虚無的だったり珍奇でちょっと病的なまでの耽美主義な世界はとても魅力的に見える。そう見えるのはだいたい自らの精神状態が「退廃的」であるときで、そういうときこそ(うまくすれば)何事にも猜疑的で荒廃した中に一輪だけ花が咲くような話が浮かんでくる気がしてならない。

  • #10

    2015/09/05

    散文

    夏の夜で塗りつぶしたような君の黒い髪は、雨に濡れたかのようにしっとりしていて、吸い込まれてしまうようだった。彼女の持つ不思議な魅力に溺れて底まで沈みたい。そう思う。あるいはもう溺れていて、僕は今まさに沈みゆく途中で、次第に遠ざかる水面を見上げながらそう思っているのだろうか。

  • #9

    2015/09/05

    散文

    自分にはもう可能性すら残されていなくて、それを直視したくないから、だからキミは本気を出さないんだ。本気を出したのに叶えられなかったら、言い訳する余地がないと思っているから。そうだろ?

  • #8

    2015/09/05

    散文

    ものが存在することを確かめるには、触れてみればいいんです。触れた感覚は、しっかりとあなたに返ってきます。好きという感情も同じように、見返りを求めます。触れた感覚がないものを認識することが難しいように、どれだけ好きでいようと片想いは次第に見返りを求めるのです。

  • #7

    2015/09/05

    散文

    宇宙空間では星は瞬かないんです。大気が揺らいで掻き乱すからこそ瞬いて見える。不純物のない恋愛なんて瞬かない星々と同じですよ。揺らぐ感情が間にあるから、互いが輝いて見えるんです。

  • #6

    2015/09/05

    散文

    初めから世界が一人なら悲しみや寂しさを感じることはないだろう。無限大に世界が広くて人が疎らなら、窮屈さや居辛さを感じることはないだろう。だけどこの世界は実に中途半端で、手を伸ばせば触れられるくらいの距離に人がいて、歩けばぶつかるくらいにたくさん人がいる。人と人の僅かな隙間に掬い取れないくらいの想いが流れていて、僕はいつも翻弄されてばかりだよ。

  • #5

    2015/09/05

    散文

    自分に対するネガティブな話題を口にするのは、そういう部分を自分なりに受け入れているという落し所を作る自己保全の意味もあるし、あわよくば誰かに「そんなことないよ」って言ってもらいたい期待だったり、欠陥を肯定してもらいたい気持ちの現れでもあり。それを自分の中で肯定も否定もせず、抱えたまま前に進める人は本当に強いんだなあと思う。

  • #4

    2015/09/05

    散文

    恋する代償として傷つくならば、互いの傷を癒すことが愛なのだ。

  • #3

    2015/09/05

    散文

    獏を飼いたい。僕の見る夢を、魘されるような悪夢も叶えられない将来の夢も、たまに見る幸せな夢も、根刮ぎ食べておくれ。そして僕は眠り続けよう。夢のないこの世界で目覚めることがないように。

  • #2

    2015/09/05

    散文

    人間の目はふたつあって初めて、ものを立体的に見ることができるんです。これは左右の目の視差による情報を脳で処理しているからです。
    同じように、私とあなたの認識する世界には差があります。これによって私たちはこの世界が立体的であることを知るのです。
    私だけ、あるいはあなただけの視点では、この世界はとても平らなものになってしまうのです。

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