マッコウクジラ

アート歌人

7

高知県高知市

0

http://homepage3.nifty.com/mkujira51ts/sozai/sozaiHyoushi.htm
social
  • 3

    Fav 0
  • 9

    View 9,934,707
  • p

    Works 2,694

マッコウクジラ

m
r

マッコウクジラ

アート歌人

  • 3

    Fav 0
  • 9

    View 9,934,707
  • p

    Works 2,694
  • 刺客たち・・・

     お盆になると地獄の釜の口が空くから海で泳いではいけない・・・でないと、死者達に足を引っ張られて地獄へ連れて行かれるぞ!・・・なんて、死んだばーちゃんがそんな事言ってたっけ。そんな事をふっと思いながら英一はお盆休みに帰省した実家の付近の海水浴場で泳いでいた。
     まあ、そんな事は迷信だわな〜なんて波頭に浮かんだり沈んだりしていると、突然足に激痛が・・・痛い!!!と、思っていると見る見るうちに足が数箇所腫れ上がってきた・・・
     確かに英一は、死者に足を引っ張られる事は無かったようだが、海の中の刺客には攻撃されたようだ。死者に恨みを買う事はないにしても、生きている女性は、過去何度か冷たくして捨てた記憶がある・・・という事は、この女たちの生霊が生み出した刺客なのだろうか?英一は腫れた足を見ながらなんとなくふっとそう感じてしまった。

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 掌編(その37)

    真夜中の青

     夜のヒロシマ、何故か足から体にかけて何かが触れそして重たい。目を開けて体のその部分に視線を向けると、無数の青白い手が両足を、そして体をつかんでいる。
     ワタシはその一つ一つをおさえ、ワタシの体から取り外してゆく・・・取り外した青い手は、右に左に動きながら、フローリングの床の下に広がる無限大のアナザーワールドへと消えてゆく・・・恐怖感を感じなかったのは、物体の恐さよりも、その物体から感じる深い悲しみを読み取ったせいだろうか・・・。水を求めさまよう人々、苦しみに耐えながら両手を天にかざす人々・・・。
     そして、青い手が全て異次元へ消えた後に広がる静寂の中で、再びワタシは夢の中の異次元へと意識をウルトラジャンプさせてゆく・・・何処かにいる青い手の招く彼方へと・・・。

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 掌編(その36)

    通り魔だったの?

     最終の列車を降りて、帰路に向かう。道はだんだん街中のネオンのある世界から外れ暗闇の道に変わってゆく。暗闇に慣れない肉体は暗闇を拒否するかの様に、だんだんとその歩くスピードを早めてゆく。コツコツコツコツ男の早まる革靴の足音のみが暗闇のアスファルトに広がっていたが、次第に前方を歩く女のハイヒールの音が同化してくる様になる。そしてお互いの音がオーバーラップを始めた頃、女は一瞬息を吸い込む様に男の方を振り向き、より暗く細い路地へと曲がって行く。男も帰路が同じだったので、女の曲がった細い路地を付けてゆくかの如く曲がって行く。そして男が路地を曲がると、より暗い道を拒否する肉体は先程よりもスピードを早めて進んでゆく。すると女がビクッとした反応でもう一度振り返ると少し予備動作をして、意を決した様に
    『キャ〜!!!』
    ・・・と叫んで走り去って行った。
     ひょっとして通り魔か痴漢と勘違いされたのだろうか?


    ※コレは昔実際にあった実話です。(^^;)

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 掌編(その35)

    媚薬ジュース

     太陽は気になっている。華子そのものが。華子は料理だけは上手いがそれ以外に容姿的に優れている訳でもなく、行動もトロく、太陽にとっては空いている時間に頼めばいつでも”させてくれる女”ただそれだけの女であるはずだった。太陽自体、他にも多数の女性とつきあっていて、別に華子はいつでも捨ててもいい女のはずだったのに、ある日華子から特性の媚薬ジュースを飲ませれてから、不思議に華子に惹かれてゆく太陽がそこにいた。そしてその日から華子の媚薬ジュースを、そして華子そのものを太陽の体が欲しがっているのが太陽には分かった。太陽は内心、なんで女に不自由しないこの俺がよりにもよってこんな女を・・・と思っていたが、意志と反して華子を求める肉体に太陽は抗う事が次第に出来なくなってきていた。
     太陽はそのジュースの内容を華子に聞いてみたのだが、7つのフルーツと数種類のアロマオイル、そして華子にしか作れない特性の媚薬を1滴入れるのだそうだか、その媚薬の内容だけは太陽に明かさなかった。そしてその媚薬ジュースはどんなに太陽が頼んでも約1ヶ月に一度しか作ってくれなかった。それが太陽にとってはもう一つの謎であった。
     そして、太陽は媚薬ジュースを飲み始めてから1年位たってから次第に他の女に魅力を感じなくなり、そしてその2年後には華子だけしか太陽の心には棲息しなくなり・・・そして結婚、そしてしばらくしてから華子は妊娠した。それと同時に華子は太陽にしばらく媚薬ジュースは作れないと告げた。
     太陽はどうしても納得がいかず、どうしてかと華子に強くその回答を迫ると、華子は不気味ににやっと笑い口を開いた。
    「鮭が生まれた河川を求めてその川を遡上する様に人間も生まれた子宮を求めて還ってくるの。現にあなたは私という河川を遡上しようと何度も私の中に入ってきたわ。媚薬ジュースの最後の一滴はね、河川の一番奥にあるあなたの本能が欲しがっていた私の卵だったの。だから、あなたは本能で私しか見えなくなったの。けど、あなたと私の結晶が出来たので、あなたには私の卵をあげられなくなったの」
     そう華子は太陽に告げると、勝ち誇った様な顔をして、太陽を睨みつけた。

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 掌編(その34)

    エデンの果実

    君がイヴだった頃
    僕は一匹の小さな蛇だった
    けど僕には君は遠い存在で
    いつも君は神様のオーラに包まれ
    僕はいつも遠くで眺めるしかなかったんだ

    だから僕は君を堕落させて
    僕の存在に近づけるために
    君にエデンの果実をすすめた
    そこまでは僕の計画通りだったんだ

    けどどうして君は
    アダムまで誘ったの?
    アダムがいたら僕は
    君に近づけないじゃないか!

    だから僕は今度は悪魔のお願いして
    一つの毒を手に入れた
    アダムを殺す毒の刃を

    そして僕はアダムに毒の刃を向け
    アダムを葬り去った
    そしてイヴを手に入れるはずだった
    そうすればイヴは
    僕を見てくれると思ったんだ
    けどイヴの心は僕には向かなかった
    そして君はこの僕を
    決して許そうとはしなかった

    そして時は流れ新世紀
    イヴだった君は
    メデューサとなって生まれ変わり
    今日も僕をその見抜いた様な目で
    僕の心を石に変え
    僕を君の瞳の亜空間の牢に閉じ込めて
    この僕を責め続ける
    アダムを奪ったこの僕に
    復讐でもするかのように

    そして夜になると君の長い黒髪は
    生き物のように
    もののけのように
    僕に絡みつき
    蛇だった頃の僕の記憶を
    思い出させようとする

    だから僕は
    空想で
    夢の中で
    エデンの果実をさがす旅に出かける
    もし僕はイヴに与えた
    エデンの果実を見つけ
    神様に返す事が出来たら
    君にかかったメデューサの魔法が解け
    君の瞳の檻から
    僕を解放してくれるかもしれない

    しかしエデンの果実は見つからない
    手掛かりも見つからない
    だから僕はカッコつけつ事なんてやめて
    自分に正直になる事にしたんだ

    こめんね
    僕はやっぱり蛇だった
    君には似合わない蛇だった
    君がどんなにこの僕を責めてみても
    僕は君好みのアダムにはなれそうにない

    君には本当のアダムがいるよ
    だからもう僕を君の操作がしやすい
    僕に変えようとして
    僕に責めるんじゃなくて
    本当のアダムをさがしなよ
    僕はもう一度蛇だった頃の僕に戻って
    地道に生きる事にするよ
    だから・・・
    サヨナラ

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 掌編(その33)

    真知の運命

     『なんで私なの・・・』
    真知は自分の運命を少し呪っていた。真知は明日のアーティストを目指す美大生である。そして、今度のヌードデッサンのモデルとして裸体をさらさねばならない運命に直面していた。まだ、どんな男性にも(子供の頃の父親は除く)見せた事のない裸体をどうして大衆の前でさらさなければならないの?私はヌードを描く事を希望したはずなのに、どうしてその話が歪んで私がヌードモデル希望に変わってるの?私が気が弱いと思われているから、男性共の陰謀でそういう事になったの?そんな思いが脳の中で渦の様に乱れ動いていた。
     しかし着替える時などは、少しその事を意識している指先が誰も見ている訳がない場所でも、少しでも真知の印象を良くしようと、ファスナーを下ろす仕草がセクシーに見える様にスピードを調節しながら動かしているのは、紛れも無い事実だった。
     そして運命の日。大衆の面前の前で台に立った真知は大きく息を吸って大声でこう叫んだ。
    『ここにいる男共!うら若き乙女のヌードを見る前におまえら全員真っ裸になってあたしのヌードモデルになりやがれ!!そうしたら、少しは考えれやらあ!』
    そう叫んでそこに居る男性共を睨みつけた。

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 掌編(その32)



     あなたの目の前に色の無い星があります。その星にあなたはどんな色を付けますか?赤ですか?青ですか?それとも・・・けど、その付けた色によって登れる将来の階段が決められているという事はあなたには明かされていません。それは上に続く階段もあれば、破滅に続く階段もあります。見た目は綺麗に見えても結局落ちていくしかない階段もあります。
     もう一度聞きます。あなたはこの星にどんな色をつけますか?

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 掌編(その31)

    バンザイガール

      AM7:20、夏美は通学のため痴漢電車で名高い埼京線に乗車していた。すし詰めの箱の中に身を置いていると、夏美の背中で何かが動き始めた。そしてその動く物体は、背中からだんだんと下へと下がり、腰に達して来た。夏美は少し体を動かすと、その物体は一瞬夏美の体から離れたが、また背中から動き始めた。すかさず、体を揺すると、また離れたが、今度は図々しく背中からではなく、腰から物体の移動が始まり、制服の中へと移動エリアを広げようと、スカートをまくり上げながら股に直に触れ、今度は少しづつ上へと移動を始めた。
      夏美は、見た目は華奢で従順で大人しい感じに見えるのだが、一応柔道2段の猛者?である。しかし、こんな大量の人がいるのに声を出すのもはずかしいし・・・なんて思ってたら、物体が上移動からだんだん危険ゾーンに伸びてこようと・・・さすがに夏美も少し堪忍袋の緒が切れて息を思いっきり吸い込み、その物体を掴み上に上げて
    『この人痴漢です!』
    と、大声を上げた。
      すると、周りにいた無表情の集団からの刺す様な冷たい様な視線がいっせいに夏美と痴漢の方に浴びせられたが、また無視されるがの如く視線を戻し、無表情の集団へと変わっていった。バンザイ状態になった夏美と痴漢を取り残して・・・
      そして、夏美と痴漢の止まった時間の中に無機質な電車のカタタン,カタタン・・・という音のみが無情に流れてゆく。その後、最寄りの駅に着いて窓が開いた途端、痴漢は止まった時間から逃れる樣に夏美の手を振りほどき、逃げ出して行った。夏美は、すかさぐ痴漢を追いかけ、一本背負いで痴漢を取り押さえ、駅員に突き出した・・・が、そのゴタゴタに時間を取られて学校は遅刻してしまった。
      結局夏美に残ったのは、遅刻と冷たい視線と無視された無常観と、バンザイ状態でさらしものになった屈辱感に似たものだけだった・・・ああ・・・悲しきバンザイガール。

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 掌編(その30)

    夕闇のマリオン前にて

     たそがれのオレンジの世界から、徐々に紫に変わり街のネオンが赤に黄色に灯り始める頃、哲平は有楽町の中にいた。
    「遅いなあ・・・。」
    哲平はそう呟き見上げてみると、マリオンクロックの時計の文字盤は、ゆっくりとゆっくりと上へと移動を初め、午後7時の楽隊が姿を現そうとしていた。
     哲平はもう三十分以上この場所で、かかしの様に立ってずっと絵梨香を待っていた。何があったのかなぁ・・・それとも俺は急に嫌われたのかなぁ・・・そう思う度についつい左腕の時計に目をやるのだった。
     いつも待ちぼうけさせるくせに、立場が逆だったらあいつはいつも鬼女の様になって怒りやがる・・・そう過去の出来事を思い出すと妙にむかつく哲平であった。俺も男なんだから、たまにはガツンとあいつに言ってやらなきゃいけないなあ。そうでないとますますあいつはつけ上がるだろう・・・そんな事を思っていると、四十五分遅れで絵梨香が数寄屋橋方面から小走りでやってきた。
    「ごめんなさい、待った?」
    「いいや、そうでもないよ・・・」
    またもやガツンと言えない哲平がそこにいた。

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
  • 掌編(その29)

    痴漢パラソル

     雨の日の午前7時、晃は二つ見過ごして乗ったいつもの通勤快速に乗り込み、いつもの指定席に着席する。何故晃は電車を二つ見過ごして乗るのかと言うと、そうしないと、電車に立って乗らないといけなくなるからである。ちなみに通勤時間は1時間少しかかるため、座って通勤する方が楽なので、そうしている訳である。
     晃は、指定席に座ると、だんだんとうとうとしてきたので、迷惑にならない様に傘を立てて股に挟み、立っている人に当らない様な角度にしてこっくりこっくりとしていた。
     しばらくすると、傘から伝わる妙な感触で晃は夢から現実に引き戻される事になり、まだ眠たい目を少し上げると、その光景に思わず晃はまばたきをして、その目を疑った。何があったかというと、晃を立てた傘の先がそこそこダンディーなおっさんの股間に位置していたからである・・・というよりも、そのおっさんの方が意図的に股間に当てている・・・という感じであった。おっさんの方は、晃が眠っている事をいい事に?傘の柄の先を股間に擦り付けている。そして、股間も妙なふくらみがある様な気もする。
     ちなみにおっさんは、まだ晃が目を覚ましているのに気付いてない様子で、晃の傘の先でお楽しみの最中である。晃はどうすればよいものか?と思ったが、そのおっさんの恍惚そうな顔を見ると、傘を妙に動かす事も出来ず、そのままにするしかなかった。
     その後、そのおっさんは晃の降りる2駅前で降りて行った。そして晃は電車から降りると雨が上がっていた。けど、その傘を持ち歩くのは妙に気持ち悪かったので、駅前にあったパチンコ屋の傘立てにその痴漢パラソルをそっと置いて立ち去った。ちなみに翌日からは、座る指定席は1車両ずらすつもりでいる。

    Comment

    • ログインするとコメントを投稿できます。

      投稿
k
k