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Comment国際長編映画賞
国際長編映画賞は今までは外国語映画賞と呼ばれていた賞です。「国際的な映画製作環境において、“外国語”という言い方はもう時代遅れではないか」との懸念から改名されたとのことですが、規定は変わっていません。
各国から一本ずつ出品されたのを「映画芸術科学アカデミー」が5本にまで絞ってます。日本では松竹・東宝・東映・角川映画の映画製作配給大手4社が構成する日本映画製作者連盟が出品する一本を選んでまいます。
国際長編映画賞(外国語映画賞)ってその国の社会問題を抉った現代的に切り取った映画が選ばれてる傾向にあるように思うんですが、例年日本映画の選出がそれとは外れているようでもったいないなと思います。
受賞した『おくりびと』、最終候補まであと一歩の『告白』、候補に残った『万引き家族』などはやっぱその国らしい社会問題を扱ったものですしね。
2021年第93回アカデミー賞国際長編映画賞候補作 『少年の君』
そんな世界各国から出品された中で5本に残ったのが『少年の君』。さすがにそのクオリティがあります。
映像が鮮烈でかっこいいし、イジメの苛烈さは目を背けたくなるほどだし、青春映画としての煌めきにはおじさんは羨望を持っちゃうほど。
若者や学校内の閉じた話ではなくて、いじめ問題に関わってくる警察の視点(つまり大人の視点)がこの映画を開かれたものにしています。
警察が割とちゃんといじめ問題に向き合ってくれてまして、「学校は聖域だから」と逃げないで、若者を救おうとする存在があるのは嬉しい。ただ同時に、大人の観客である我々にもそれができるってことになっちゃうので、、高校生のいじめ問題を他人事にしてられなくて辛い。。
若者を苦しめてイジメているのは大人だし、それを救えるのも大人。大人ってのは自分のこと。
せめて最低限投票くらいはしようよ。若者のためにもね。
いじめ問題
いじめ描写が容赦ないので結構辛いんですが、、、いじめっ子の描き方が深くて素晴らしいです。
いじめっ子もプレッシャーをかけられて苦しめられているってのが次第にわかってきます。だからイジメていい訳ではないんですが。
そもそもなぜこのイジメが起きたのかと問題を遡っていくと、大人の社会構造にたどり着く。大人たちはその社会構造に戦わずに受け入れて、さらに子供をそこに組み込んでいこうとする。
せめてこの社会で上に立てるようにと子供にプレッシャーを与えて弱いものを踏みつけていいと教える。弱くなくても踏みつけることで相手を弱くさせる。それは大人社会の鏡として子供たちが行っていること。
演技も映像描写も話の展開もミステリーも素晴らしい
褒め要素が多すぎて書いてられないんですが、主役2人の演技はほんとに素晴らしい。特にチョウ・ドンユィ。いじめっ子を演じた周也も。
バレーボールのシーンもすごかったですね。。一応輪の中にはいるんだけど、自分が打ったボールを誰も取ってくれない。。そして誰も自分に打ってくれない。
からの、後頭部にボールボーンッ!どうやって撮影したの。。CGですかね、あれ。あの勢いでボール後頭部に当てちゃダメですよね。。
135分という長めの映画なので、結構話が先へ先へと行きます。ここで終わりかなと思ってもまだまだ展開していく。
終盤はミステリーにもなってますしね。
そしてラスト、あれは夢なのか幽霊なのか生霊なのか。。。
ネタバレは以下に
いじめっ子のウェイを死に至らしめたのは少女チェン・ニェンだった。
ウェイが一旦はチェン・ニェンにめちゃくちゃ謝ってきたのでチェン・ニェンも「お前がやってきたことは許すとか許さないとかのレベルじゃないんだけどもういいよ関わって来んなよもう」的な雰囲気で、ウェイから離れようとする。
しかしウェイは「許してもらえたってとこねラッキー」ってな感じで「私たち友達だよね」って言っちゃったものだから、チェン・ニェンはウェイを突き飛ばす。
アンラッキーなことに、CGで作ったのかっていうくらいの高く長い階段だったので、スタントウーマンの方お疲れ様ですって感じでウェイが階段を死刑のように落ちていって死亡。
ちなみにウェイは一年目の試験に落ちちゃった留年生だったようですね。それで親からのプレッシャーが半端なかった。表情の人形の固まっていましたね。
チェン・ニェンは状況から言って殺人罪に当たるとは思えませんが、目撃者も居なそうだし、逮捕されて事情聴取とかされていたら受験ができないかもしれないし、そもそも事件を起こしたことで受験させてもらえないかも。
すぐ救急車呼んで自首すれば刑は軽く済んだだろうけど、とにかく「若い」のでその判断ができない。
結果、シャオベイがウェイを土に埋める。
チェン・ニェンは無事に受験することに成功。
しかし大雨で雪崩が起きたことで埋めたはずのウェイの遺体が発見されてしまう。シャオベイが逮捕。
警察はシャオベイがチェン・ニェンを守るためにウェイを殺害したと疑う。
シャオベイとチェン・ニェンはそもそも2人は会ったことさえないと嘘をついて乗り切ろうとする。それでシャオベイにかかってる疑いを晴らせると思っていた。
映画の中の警察ってバカなことが多いけど、この映画の警察はバカではない。。シャオベイとチェン・ニェンとウェイには繋がりがあることはすぐに突き止めて、シャオベイがウェイを車で運んだ形跡も見つける。
さらにバカではない警察は活躍する。とは言ってもシャオベイがウェイを殺したわけではないのでは?と疑う。
しかしシャオベイとチェン・ニェンは口を割らない。
シャオベイが10年くらいの刑を受けるけど、チェン・ニェンが受験に受かって社会で成功して、10年後くらいに再開して2人で幸せに生きようと考えている。
↑ものすごく甘い考え。若者が恋愛で燃え上がってる時に思いつく考え。こんなこと大人だったら考えない。でも彼らは若い。それができると思っちゃう。
警察はチェン・ニェンを騙して自白させる。ここでやっと実はチェン・ニェンがウェイを殺してしまったことが判明する。
シャオベイとチェン・ニェンは面会する。会話は一切ない。笑顔。
私たち失敗したね
そうだな。うまくいかねえもんだな
浅はかだったのかな
しゃーねーな
でも楽しかったね
楽しかった
私たち失敗したんだね
失敗したんだな
無言だけれどこんなような会話をしていそうな表情のやりとりをする2人。
シャオベイは死体遺棄罪などで逮捕。
チェン・ニェンも受刑するが、ひどいいじめに遭っていたことも考慮されて割と早く出てくる。
チェン・ニェンは大人になり英語の教師になっている。イジメられているっぽい女生徒を心配して、その女生徒を家まで一緒に帰ってあげる。
その後ろには大人になったシャオベイ。守護天使のようにチェン・ニェンの背後をつけている。
ラスト。イー・ヤンチェンシー(易烊千玺)がカメラ目線でしゃべる。以下に中国政府が国をあげていじめ問題に取り組んでいるかを紹介する。
こうやって国としていじめ問題に取り組んでいることはイジメを減らすことになるだろうし、今イジメられている子たちを救うことになると思う。
この映画は240億円以上の興行収入をあげる大ヒット作なので、こうやってわかりやすく大人たちがイジメ対策をしているってことを伝えることは実際意義深いと思うし、役に立つことだとは思います。
が、、、やっぱ映画としてはね、、、ちょっと、、、「あ、広報映画だったのかな」なんて思っちゃうよね。。「ちゃんとやってますよー」って言うための映画みたいだなーなんて思っちゃったんよね。。
でも、そんなことどうでもいいですからね!映画なんてどうでもいいことです!今いじめられている子がちゃんと助けを求められるシステムを作って広報することの方が何よりも大事ですから!
『少年の君』四コマ映画→4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_...
国際長編映画賞
国際長編映画賞は今までは外国語映画賞と呼ばれていた賞です。「国際的な映画製作環境において、“外国語”という言い方はもう時代遅れではないか」との懸念から改名されたとのことですが、規定は変わっていません。
各国から一本ずつ出品されたのを「映画芸術科学アカデミー」が5本にまで絞ってます。日本では松竹・東宝・東映・角川映画の映画製作配給大手4社が構成する日本映画製作者連盟が出品する一本を選んでまいます。
国際長編映画賞(外国語映画賞)ってその国の社会問題を抉った現代的に切り取った映画が選ばれてる傾向にあるように思うんですが、例年日本映画の選出がそれとは外れているようでもったいないなと思います。
受賞した『おくりびと』、最終候補まであと一歩の『告白』、候補に残った『万引き家族』などはやっぱその国らしい社会問題を扱ったものですしね。
2021年第93回アカデミー賞国際長編映画賞候補作 『少年の君』
そんな世界各国から出品された中で5本に残ったのが『少年の君』。さすがにそのクオリティがあります。
映像が鮮烈でかっこいいし、イジメの苛烈さは目を背けたくなるほどだし、青春映画としての煌めきにはおじさんは羨望を持っちゃうほど。
若者や学校内の閉じた話ではなくて、いじめ問題に関わってくる警察の視点(つまり大人の視点)がこの映画を開かれたものにしています。
警察が割とちゃんといじめ問題に向き合ってくれてまして、「学校は聖域だから」と逃げないで、若者を救おうとする存在があるのは嬉しい。ただ同時に、大人の観客である我々にもそれができるってことになっちゃうので、、高校生のいじめ問題を他人事にしてられなくて辛い。。
若者を苦しめてイジメているのは大人だし、それを救えるのも大人。大人ってのは自分のこと。
せめて最低限投票くらいはしようよ。若者のためにもね。
いじめ問題
いじめ描写が容赦ないので結構辛いんですが、、、いじめっ子の描き方が深くて素晴らしいです。
いじめっ子もプレッシャーをかけられて苦しめられているってのが次第にわかってきます。だからイジメていい訳ではないんですが。
そもそもなぜこのイジメが起きたのかと問題を遡っていくと、大人の社会構造にたどり着く。大人たちはその社会構造に戦わずに受け入れて、さらに子供をそこに組み込んでいこうとする。
せめてこの社会で上に立てるようにと子供にプレッシャーを与えて弱いものを踏みつけていいと教える。弱くなくても踏みつけることで相手を弱くさせる。それは大人社会の鏡として子供たちが行っていること。
演技も映像描写も話の展開もミステリーも素晴らしい
褒め要素が多すぎて書いてられないんですが、主役2人の演技はほんとに素晴らしい。特にチョウ・ドンユィ。いじめっ子を演じた周也も。
バレーボールのシーンもすごかったですね。。一応輪の中にはいるんだけど、自分が打ったボールを誰も取ってくれない。。そして誰も自分に打ってくれない。
からの、後頭部にボールボーンッ!どうやって撮影したの。。CGですかね、あれ。あの勢いでボール後頭部に当てちゃダメですよね。。
135分という長めの映画なので、結構話が先へ先へと行きます。ここで終わりかなと思ってもまだまだ展開していく。
終盤はミステリーにもなってますしね。
そしてラスト、あれは夢なのか幽霊なのか生霊なのか。。。
ネタバレは以下に
いじめっ子のウェイを死に至らしめたのは少女チェン・ニェンだった。
ウェイが一旦はチェン・ニェンにめちゃくちゃ謝ってきたのでチェン・ニェンも「お前がやってきたことは許すとか許さないとかのレベルじゃないんだけどもういいよ関わって来んなよもう」的な雰囲気で、ウェイから離れようとする。
しかしウェイは「許してもらえたってとこねラッキー」ってな感じで「私たち友達だよね」って言っちゃったものだから、チェン・ニェンはウェイを突き飛ばす。
アンラッキーなことに、CGで作ったのかっていうくらいの高く長い階段だったので、スタントウーマンの方お疲れ様ですって感じでウェイが階段を死刑のように落ちていって死亡。
ちなみにウェイは一年目の試験に落ちちゃった留年生だったようですね。それで親からのプレッシャーが半端なかった。表情の人形の固まっていましたね。
チェン・ニェンは状況から言って殺人罪に当たるとは思えませんが、目撃者も居なそうだし、逮捕されて事情聴取とかされていたら受験ができないかもしれないし、そもそも事件を起こしたことで受験させてもらえないかも。
すぐ救急車呼んで自首すれば刑は軽く済んだだろうけど、とにかく「若い」のでその判断ができない。
結果、シャオベイがウェイを土に埋める。
チェン・ニェンは無事に受験することに成功。
しかし大雨で雪崩が起きたことで埋めたはずのウェイの遺体が発見されてしまう。シャオベイが逮捕。
警察はシャオベイがチェン・ニェンを守るためにウェイを殺害したと疑う。
シャオベイとチェン・ニェンはそもそも2人は会ったことさえないと嘘をついて乗り切ろうとする。それでシャオベイにかかってる疑いを晴らせると思っていた。
映画の中の警察ってバカなことが多いけど、この映画の警察はバカではない。。シャオベイとチェン・ニェンとウェイには繋がりがあることはすぐに突き止めて、シャオベイがウェイを車で運んだ形跡も見つける。
さらにバカではない警察は活躍する。とは言ってもシャオベイがウェイを殺したわけではないのでは?と疑う。
しかしシャオベイとチェン・ニェンは口を割らない。
シャオベイが10年くらいの刑を受けるけど、チェン・ニェンが受験に受かって社会で成功して、10年後くらいに再開して2人で幸せに生きようと考えている。
↑ものすごく甘い考え。若者が恋愛で燃え上がってる時に思いつく考え。こんなこと大人だったら考えない。でも彼らは若い。それができると思っちゃう。
警察はチェン・ニェンを騙して自白させる。ここでやっと実はチェン・ニェンがウェイを殺してしまったことが判明する。
シャオベイとチェン・ニェンは面会する。会話は一切ない。笑顔。
私たち失敗したね
そうだな。うまくいかねえもんだな
浅はかだったのかな
しゃーねーな
でも楽しかったね
楽しかった
私たち失敗したんだね
失敗したんだな
無言だけれどこんなような会話をしていそうな表情のやりとりをする2人。
シャオベイは死体遺棄罪などで逮捕。
チェン・ニェンも受刑するが、ひどいいじめに遭っていたことも考慮されて割と早く出てくる。
チェン・ニェンは大人になり英語の教師になっている。イジメられているっぽい女生徒を心配して、その女生徒を家まで一緒に帰ってあげる。
その後ろには大人になったシャオベイ。守護天使のようにチェン・ニェンの背後をつけている。
ラスト。イー・ヤンチェンシー(易烊千玺)がカメラ目線でしゃべる。以下に中国政府が国をあげていじめ問題に取り組んでいるかを紹介する。
こうやって国としていじめ問題に取り組んでいることはイジメを減らすことになるだろうし、今イジメられている子たちを救うことになると思う。
この映画は240億円以上の興行収入をあげる大ヒット作なので、こうやってわかりやすく大人たちがイジメ対策をしているってことを伝えることは実際意義深いと思うし、役に立つことだとは思います。
が、、、やっぱ映画としてはね、、、ちょっと、、、「あ、広報映画だったのかな」なんて思っちゃうよね。。「ちゃんとやってますよー」って言うための映画みたいだなーなんて思っちゃったんよね。。
でも、そんなことどうでもいいですからね!映画なんてどうでもいいことです!今いじめられている子がちゃんと助けを求められるシステムを作って広報することの方が何よりも大事ですから!
『少年の君』四コマ映画→4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_...
published : 2021/07/16