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文学・文芸 > その他
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Comment 僕にももっと若い時があった。
何十年後の自分はどこにいる?
意味が無いと知りながらも妙な偏屈さで自分を慰めたりしたんだ。
やっぱりサヨナラだけが人生なんだな。
産まれた瞬間から死に向かっているだけなんだなあ。厭世的にはならないけれどね。
○月○○日 19xx年
沈殿した泥土をかき回したような気分にゆれる。求めていたものはここにない。
小雨の降る真夜中の2時。 流れていきたい。静かに浮草のように優しくはなれそうにないけど、正直にはなれそうな気がしてる。
『もう寝ようか、明日仕事なんだ』君がいう。湿りを帯びた灯りの下でいつかと同じ感情が流れ、妙に空々しい。少し照れながら悟りきった下卑た言葉を吐き出す。僕ももう〇○歳になったんだ。
唯若かっただけなんだろうか。同じ情熱と同じ分の気怠さがベットの上で乾き始める。
Love? 知らないなあ。唯懐かしんでいるだけかも。面影に自慰することもできない僕が此処にいる。汚したくなるほど神聖じゃなかった。
ジャラジャラとタミールの弦の音が堕ちてくる。Eドリアンモードに入って僕の頭ん中が狂いだす。安物のワインのせいかもしれない。ダイアモンドの中のルーシーが微笑みかけてくる。手を伸ばしてもつかめないんだ。傍に居るはずなのに飛んで行ってしまうんだ。小鳥みたいにね。
気が付くと僕は独りだった。パイン材の床に彼女の下着が転がっている。僕は知っていたんだ、彼女がそうするってね。サヨナラはいわないでおくよ。
僕は明日この街を出てゆく。
ノルウェイの森
by canbeesanta
僕にももっと若い時があった。
何十年後の自分はどこにいる?
意味が無いと知りながらも妙な偏屈さで自分を慰めたりしたんだ。
やっぱりサヨナラだけが人生なんだな。
産まれた瞬間から死に向かっているだけなんだなあ。厭世的にはならないけれどね。
○月○○日 19xx年
沈殿した泥土をかき回したような気分にゆれる。求めていたものはここにない。
小雨の降る真夜中の2時。 流れていきたい。静かに浮草のように優しくはなれそうにないけど、正直にはなれそうな気がしてる。
『もう寝ようか、明日仕事なんだ』君がいう。湿りを帯びた灯りの下でいつかと同じ感情が流れ、妙に空々しい。少し照れながら悟りきった下卑た言葉を吐き出す。僕ももう〇○歳になったんだ。
唯若かっただけなんだろうか。同じ情熱と同じ分の気怠さがベットの上で乾き始める。
Love? 知らないなあ。唯懐かしんでいるだけかも。面影に自慰することもできない僕が此処にいる。汚したくなるほど神聖じゃなかった。
ジャラジャラとタミールの弦の音が堕ちてくる。Eドリアンモードに入って僕の頭ん中が狂いだす。安物のワインのせいかもしれない。ダイアモンドの中のルーシーが微笑みかけてくる。手を伸ばしてもつかめないんだ。傍に居るはずなのに飛んで行ってしまうんだ。小鳥みたいにね。
気が付くと僕は独りだった。パイン材の床に彼女の下着が転がっている。僕は知っていたんだ、彼女がそうするってね。サヨナラはいわないでおくよ。
僕は明日この街を出てゆく。
published : 2012/11/13